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この胸に深々と突き刺さる矢を抜け〈下〉
 
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この胸に深々と突き刺さる矢を抜け〈下〉 (単行本)

by 白石 一文 (著)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

スクープ記事は大反響を呼ぶが、上層部から圧力がかかり、編集部内の人間関係もねじれ出す。もつれて膠着する状況のなかで、カワバタは、ある運命的な出会いへと導かれる。まるであらかじめ定められていたかのように。思考と引用をくぐり抜けた後に、「本当のこと」が語られる。現代を描き続ける著者が、小説という表現の極限を突き詰めた渾身作。いよいよ完結。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

白石 一文
1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、2000年『一瞬の光』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • 単行本: 315 pages
  • Publisher: 講談社 (2009/01)
  • ISBN-10: 4062152436
  • ISBN-13: 978-4062152433
  • Release Date: 2009/01
  • Product Dimensions: 7.6 x 5.4 x 1.3 inches
  • Average Customer Review: 3.5 out of 5 stars  See all reviews (11 customer reviews)
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4 of 4 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars いっきに読める カタルシスあり, 2009/5/30
By ぱぴぷ (JAPAN) - See all my reviews
白石一文の本を読むのは『一瞬の光』についでまだニ作目だが、この本も相変わらず読みやすく、上下あわせて600ページあまりの本書も、いっきに読み終えてしまった。内容も『一瞬の光』より面白かった。

引用の多さについて賛否両論あるようだが、主人公が編集者なので、日常たくさんの本を読んでいるのだろうと思い、わたしは引用に違和感は持たなかった。

ところどころ「あれ?」とひっかかることがいくつか出てくるが、それがラストまでにすとんと腑に落ちていくのが気持ちいい。清濁あわせもった主人公に大人をみる向きもあるだろうが、その濁の部分にある種の人は耐え難いだろう。しかし物語の終わり近くに主人公に降りかかる災難が、そうした読者にカタルシスをもたらす。あれは作家が主人公に一種の禊ぎをさせたのではないだろうか。

全般的にとてもおもしろかったが「深々と突き刺さる矢」の意味やラストには「え?」とやや拍子抜けになったので星は4つ。とはいえ、他のラストを自分で考えろと言われたら思いつかないし、やはりこのようなラストがいいのかなとも思う。


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7 of 9 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars これでもかと「本質」を問い詰める求道的な小説, 2009/3/6
By だん (大阪府) - See all my reviews
上巻に続き、生と死、社会と個人について登場人物たちが意見を繰り広げたり、主人公の長いモノローグがある。ある種、ソクラテスが登場しそうな哲学書の中に小説がちりばめられているというべきか。他の作家とは一線を隠した著者のオリジナリティが際立ち、様々な本からの長い引用が突然あらわれ、意表をつかれるのだが、最後までページを繰ってしまう。ぎりぎりまで考え詰めた社会や人間への洞察、リアルな現状認識、モラルに関する徹底的な追求、組織と人の関係(主人公が組織から飛び出る場合がほとんど)がこの著者の本の魅力だと思う。
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16 of 22 people found the following review helpful:
1.0 out of 5 stars 四方八方無茶苦茶に放たれた矢、胸を射止めない矢。(上巻で書いたものと同内容), 2009/3/15
By dsk (東京都) - See all my reviews
書評をみ、タイトルに惹かれて読んだが、端的にいうと期待はずれだった。
絶賛されている方が多い中、酷評で恐縮だが、
こういう感想を持った者もいるという程度に、御参考いただければ幸いである。


全体的に内容が薄い、圧倒的に薄い。主張、構成に必然的連関がない。

まず、著者が博覧強記であるとはとても感じられない。
この本の半分くらいは引用から成り立っているような気がするが、
きらりと光る文章もあれば、引用する価値のない文章もある。
但し、きらりと光る文章も、全体に埋もれて、色褪せてしまっているのが残念である。

思索が浅い。
男女の性の問題、DV、格差社会、ワーキングプア、家族の問題、政治批判、官僚制批判、
全ての思索が、日頃、テレビのキャスターが話すような非常に低いレベルのものであり、
底が浅く深みがない。

主人公も、この全ての問題について、月並みな、あるいはそれ以下の評論家でしかない。
悪(?)と徹底的に戦い続ける訳でもない。
貧困により失われる子ども達の命を救うために、何かをするわけでもない。
自由主義経済を批判し続ける(但し、鋭い批判ではまったくない)が、
一つの価値観に貫かれた行動をする訳でもない。

登場人物全員が、深く悩んでいない。
かろうじて骨のある主張をしたのはNくらいだったか。
しかし彼の扱いも残念ながら中途半端であった。

ストーリーにあっと驚く展開があるわけでもない。
人の振る舞いが御都合主義的であるように感じられる。

下巻の最後にて、この胸に深々と突き刺さる矢を抜くことの意味が明かされる。
しかし、提示され続けたDV、格差社会、不平等社会と、
その「必然によって生きる」、ということがどのように結びつくのか。
そこに全く「必然」が感じられない。

著者は、四方八方無茶苦茶に矢を放ち、
的にかすめ続ける(というよりも外し続ける)のではなく、
もう少し的を絞り、狙いを定めて、しっかりと中心を射貫くべきであった。

この本は、少なくとも私には、考え抜かれた本であるようには思えなかった。
村上龍や天童荒太の著書のほうが、思考の強烈な跡が本に焼き付いているように思う。

この本は、私の胸を射止めることはなかった。
私の胸には深々と矢は刺さっていないし、抜く必要もない。
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