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日本語の源流を求めて (岩波新書)
 
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日本語の源流を求めて (岩波新書) (新書)

大野 晋 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

日本語は、いつ頃どのように生まれたのか。「日本精神」の叫ばれた戦時下、「日本とは何か」の問いを抱いた著者は、古典語との格闘から日本語の源流へと探究を重ねた。その途上で出会ったタミル語と日本語との語彙・文法などの類似を語り、南インドから水田稲作・鉄・機織などの文明が到来した時代に言語も形成された、と主張する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大野 晋
1919年東京に生まれる。1943年東京大学文学部卒業。専攻、国語学。学習院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 「タミル語=日本語起源」説の集大成, 2007/9/29
By 紫陽花 "玲瓏" (神奈川県相模原市) - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
「タミル語=日本語起源」説を唱える大野氏が、国語学者を志した経緯から、タミル(インドの南部地方)語との出会い、タミル語と日本語との比較検討、そしてタミル文明が古代日本に与えた影響などを纏めたもの。これまでの大野氏の研究の集大成とも言える書。

日本語は現在アルタイ語族の仲間とされているが、大野氏はアルタイ語族の中に日本語の基本単語と一致性を持つ言語がない事に不満を持っていた。そして、出会ったのがタミル語である。大野説は学界では異端視されているが、本書でも述べられている検討内容で、私が魅力を感じるのは以下の点である。

(1) 両者で一致する多くの基本単語(外来語とは異なる)の中に、日用語は勿論の事、日本独特の情緒に関する単語(「あはれ」等)、「稲作」・「鉄」に関する単語が数多く含まれている点。これは、タミル文明の移入によって日本に稲作及び鉄器の使用技術が導入され、同時に基本単語・文法の面で強く原日本語(=縄文時代から存在していた)に影響を与え、これによって弥生時代の幕が開いた事を強く示唆する。
(2) タミル地方には紀元前に成立した「サンガム」という歌集が残っており、この文法構造(五七五形式)が万葉集と酷似している点。つまり、文献レベルで古代タミル語と古代日本語との比較が可能であり、かつ結果が「係り結び」と言う特殊な要素を含め文法的な一致性を示している点。こうした古代の文献レベルで比較できる(日本語に近い)言語は他に存在しない。タミル語と日本語の近縁関係を否応なく想定せざるを得ない。
(3) インド南洋から日本への遥かな旅路を思い浮かべる時、その壮大な"夢とロマン"に圧倒される点。

 本書の後半では年中行事・風習の一致性に関しても論じているが、これらは東アジア全体で共通のものも多いであろうから、例示された全ての事象をタミル文明の影響と言い切る是非の判断が難しい。タミル語が、日本語と朝鮮語の共通祖先という説はタミル文明の流入経路と相まって興味深い。

私は大野説に関する本は既に数冊読んでいるのだが、本書は新書版と言う事を考慮した上で、研究成果が体系的に整理され、かつ重点が詳細に分析されている点に感銘を受けた。「学問に年齢は関係ない」とは良く言われる言葉だが、本書執筆時、大野氏は88歳である。周囲の雑音に負けずに自説を追求する信念の強さに改めて感心する。そんな大野氏の研究を集大成した夢とロマンに溢れた画期的な日本語起源説。
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 日本文化は混合文化であることの証左の一つ, 2008/1/5
By kaizen (愛知県) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
日本は、極東で、大陸の端っこである。
そのため、多くの文化を受け入れている。

4大文明のうち、インド文明と中国文明のよいところを引き受けている。
仏教と儒教が日本の文化の基礎の大きな部分を占めているかもしれない。

言語の面において、漢字として中国の文明の遺産があるとすれば、インドからの遺産もあって不思議でない。

また、太平洋上の諸島や、アイヌ、エスキモーなどの文化も混入していることは想定できる。

本書は、その当然のことを一つの筋書きで書き下した物として了解できる。

朝鮮半島の言語と日本語との間の関係の分析は、隣接している国であるため、重要であろう。
一番近くの言語との関係と、それ以外の言語との関係を、体系的に説明してもらえるとありがたい。

特に、アイヌ語との関係が分かると嬉しい。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 南インドからの渡来人, 2008/12/19
By 白河夜舟 (東京都国立市) - レビューをすべて見る
日本語学者としての著者の業績と名声にはすでに赫々たるものがあった。その著者が日本語に対応する語を多く持つタミル語という南インドの言葉に出会ったのは60歳になってからであった。評者は「ドラヴィダ語」(タミル語はこれに含まれる)というまるで耳にしたことのない遠い国の言葉に日本語との類縁性があるという著者の論を新聞で目にしたときはそのあまりの途方のなさに驚いた記憶がある。しかし言語学者として深い研鑽を積んでいた著者は並み居る同学の冷ややかな反応をものともせず、現地のタミル語学者たちの教えを乞いつつ着々と研究の歩を進めた。たしかにその後の25年間を通じて、人間は古代から驚くべく広く遠く、放浪、漂流を続けたことへの認識が深められている。しかし評者には真に驚くべきことはそのような認識の深化に著者が発表する研究業績が一役買っているとさえ思えることである。
本書は僅か270頁ほどの小さな大著である。それは明晰ではあっても読みやすい本とはいえない。それは一般読者に向けられた本ではあってもそれ以前に出された2冊の学術的著書を踏まえている。著者は少年時代から「日本とは何かについての自分なりの答えを書くこと」を希望していたという。その希望は日本語の研究に始まりついには考古学の世界にまで著者を導き入れたのである。
著者は日本語の源流をたどって、タミル語が日本語のどこにどのように重要な位置を占めているかをおおよそ明らかにするという偉業を達成した。それは凡百の論者を登壇させ続けてやまない「日本人論」にも貴重な示唆を与えるものである。そればかりではない。著者の主張にはまた、タミル語の伝来は水田稲作を伴っていたというもう一つの大きな論点が付随している。当然ながら、本書をこの二つの論点を中心として読み終える読者は多いだろう。しかし本書はまた、著者大野晋の生涯をかけた研鑽の足取りでもあり、その通りすがりの光景に惹きつけられる人も少なくないだろう。
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