プロカメラマン 塙真一によるコスプレ撮影テクニック

コミケのようなイベントでの醍醐味の一つとして、野外でのコスプレイヤー撮影が挙げられる。しかしながら「実際どのようなカメラを使用すれば良いのか?」「野外撮影は難しそう」と、一歩踏み出せていない方も多いのではなかろうか。今回は、プロカメラマンが作例を元に各カメラのおすすめポイントや撮影法をご紹介。その他、プロならではの視点でアクセサリも掲載。

写真家:塙 真一(ハナワ シンイチ)

東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。
役者、タレント、政治家などの撮影も行うほか、カメラ誌に写真や記事を寄稿する。
また、海外での肖像写真撮影や街風景スナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。

アメリカの街と人を題材に写真展の開催も多数。2015年より写真家ユニット「pixels」としても活動を開始。2015年ハッセルブラッド アンバサダー。
日本写真家協会(JPS)会員。

モデル・写真家:片岡 三果(カタオカ ミカ)

北海道出身。モデル。
漫画家の両親、大叔父が画家という家庭環境に育ち、幼い頃から美術、デザインを学ぶ。
デザインの勉強のためと始めた写真の魅力に取りつかれ、現在写真家 塙真一氏のアシスタントとして写真を勉強中。
2013年より専門学校東京デザイナー学院映像デザイン科にて写真実習の講師を務める。

初めてのコスプレ撮影 おすすめカメラ

コスプレ撮影を本格的に楽しみたいならシステム性に優れたレンズ交換式のカメラがおすすめだ。一眼レフカメラに限らず、ミラーレスカメラも使い勝手が良く初心者にもおすすめできる。
最初から高価なプロ用カメラなどを購入する必要はなく、エントリーモデルや中級機で十分だろう。あまり古いカメラだと画質に満足できないこともあるが、新品で手に入るカメラであれば、どれを選んでも画質は十分に満足できるはずだ。

今回ご紹介する製品一覧

一眼カメラ

Canon X7i + 18-135mmキット (製品はこちら

最新モデルから世代前のモデルとなるが、画質、使い勝手ともに最新モデルに引けを取らない。
一眼レフカメラはファインダーを覗きながらの撮影が基本となるが、このカメラの場合、液晶モニターがバリアングル式で可動しタッチ液晶も搭載しているため、液晶を使ったライブビュー撮影も快適に行える点が特徴だ。

Canon X7i + 18-135mmキット / 単焦点レンズ 50mm製品はこちら) 比較

Nikon D5500 + 18-140mmキット (製品はこちら

バリアングル式のタッチ液晶を搭載する中級機。 ファインダーを覗きながら、液晶モニターをタッチすることでAFエリア選択も行える。
APS-CサイズのCMOSセンサーは2416万画素と画素数も多く、大伸ばしにも最適。フルオートからマニュアル撮影まで、さまざまなユーザーのニーズに対応した万能モデルだ。
キットレンズも18-140mmと広角から望遠まで1本で対応できるので使い勝手が良い。液晶のタッチAFを活用してしっかりとモデルの顔にピントを合わせたい。

Nikon D5500 + 18-140mmキット / 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm製品はこちら比較

OLYMPUS E-M5 MarkⅡ+ 14-150mmⅡキット (製品はこちら

このカメラの最大の特徴は、ボディ内に5軸手ブレ補正機構を搭載している点だ。ボディ内に手ブレ補正を搭載しているため、どのようなレンズを装着しても手ぶれを補正してくれる。
防塵防滴仕様で、プロユースも想定した作りは信頼性も高い。ミラーレスカメラだが、液晶ビューファインダー(EVF)も装備しており、一眼レフライクな撮影スタイルが楽しめる。
AFを追従させながら約5コマ/秒の高速連写が可能な点も魅力。撮っていて楽しくなるカメラだ。コンパクトなボディは人混みでも快適に撮影できるので、コミケ会場でのコスプレ撮影時に有利なカメラのひとつだ。

PENTAX K-S1 + 18-55・55-300キット (製品はこちら

コンパクトカメラ

Panasonic FZ1000 (製品はこちら

Casio EXILIM EXZR850 (製品はこちら

スリムタイプのコンパクトデジカメだが、広角25mm相当か超望遠450mm相当までの撮影が可能な光学18倍ズームが特徴のカメラ。
5軸手ブレ補正機構を内蔵しているため、超望遠域でも手ぶれの少ない写真が撮れる。ハイスピードエクシリムと銘打つモデルだけあって、30コマ/秒の高速連写が可能。モデルの目線が来そうな瞬間を狙って連写すれば、シャッターチャンスを逃すことなく目線あり写真が撮れる。ただし、連続撮影枚数が最大30枚なので、ここ一発のチャンスを見計らい、シャッターを押すタイミングに注意して使いたい。

プロが語る! コスプレ撮影のポイント

露出補正(+1.3ステップ)

36mm 1/125 F6.3 ISO200 OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ

普通のポートレート撮影とコスプレ撮影との最大の違いは、“衣装をどこまで写すか”という点だろう。

通常のポートレートなら衣装全体を写すことが必須ではないが、コスプレの場合は、コスプレイヤー自身が手作りした衣装など、衣装にもこだわりがあることが多く、アップで細部ばかりの写真だけでなく、全身も撮っておくようにしたい。コミケ会場のような場所では、撮影場所や背景を選ぶことは難しいかもしれないが、なるべく背景がゴチャゴチャしていない場所で撮影するようにしたい。

また、屋外の撮影なら太陽の向きにも気を付けたい。曇りの日なら問題ないが、晴天時はモデルの顔や身体に太陽光が当たらないようにした方が美しく撮れる。太陽光がある場合には、逆光にして露出補正かまたはストロボを使って撮影するのが良いだろう。

コスプレ撮影の目的はモデルと衣装を綺麗に撮ること。背景が白飛びしてしまったとしても、モデルの顔が明るくなるように露出を調整したい。 基本的にはプラスの露出補正を前提に考えておけば良いだろう。デジタルカメラ撮影の場合、撮った写真はすぐに液晶モニターでチェックできる。1枚撮って液晶で確認して顔が暗いと感じるなら、2/3ステップくらいプラスにしてみると良いだろう。
それでも暗ければさらに2/3ステップくらい明るめに。逆に明るくなりすぎていたら、そこから1/3ステップずつマイナスにしていけば良い。 上記の作例で補正前後の写真を掲載しているので参考にしてほしい。「後から画像処理ソフトで明るさ調整をすれば良い」などと考えずに、なるべく撮影時に適正の明るさで撮るように心掛けることが、良い写真を撮るポイントだ。

ストロボを使う場合は、“ストロボ光が強くなりすぎない”ように調整したい。この場合は、露出補正ではなく調光補正という機能を使う。
上記の作例にもあるが、ストロボを使うと衣装の細部までくっきりと写るので、コスプレイヤーさんにも喜んでもらえるだろう。ストロボはカメラメーカーが発売する純正品を使うのが一番間違いないが、もし複数メーカーのカメラを使っているのならサードパーティー製の汎用ストロボをチョイスするという手もある。
ただし、ストロボによってはオート調光ができず、自分でストロボの光量を調整するマニュアル発光となることがあるので、初心者には難しいかもしれない。ストロボ使用時の撮影モードはP(プログラム)オートでの撮影がおすすめだ。

衣装:[公式]銀魂 坂田銀時コスチュームセット(コスパ)
ウィッグ:[公式]キャラクターウィッグ 坂田銀時(ACOS)

アクセサリー リングライト使用

18mm 1/160 F6.3 ISO200 OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ

ピントは基本的に顔(瞳)に合わせるようにしたい。
ミラーレスカメラなら顔認識AFを搭載しているのが一般的なので、この機能を積極的に使うのが良い。一眼レフカメラのファインダー撮影時は顔認識AFが使えない。その際には、AFエリアをマニュアル操作して、AFポイントを顔の位置に合わせてピント合わせを行うようにしたい。たとえ昼間の撮影でも手ぶれには慎重になりたい。慌ててシャッターを押すと手ぶれしやすいので、落ち着いてゆっくりとシャッターボタンを押すようにしたい。

さらに、レンズ交換式カメラを使っている方におすすめしたいのが、“単焦点レンズ”だ。50mm相当前後の単焦点レンズを使えば、キットレンズにはないボケを活かした写真を撮れるからだ。絞りをなるべく開放付近(F1.4のレンズならF1.4からF2くらい)にして、しっかりとピントを合わせれば、背景が大きくボケて被写体が浮き立つ美しい写真が撮れる。
ただし、ズームと違って単焦点レンズでは、被写体との距離で写る範囲が決まってしまう。囲みの撮影などで被写体との距離を調整出来ない場合には、ズームレンズの方が撮りやすいかもしれない。

より上級者になれば、ストロボに装着するアクセサリーなどを使ってみるのも良いだろう。影の出にくいリングストロボアクセサリーや光を柔らかくするディフューザーなど、ストロボに装着するアクセサリーが数多く発売されているので、これらも試してみると今とは違った写真が撮れる。

コスプレイヤーの気持ち

スピードライトSB910使用

38mm 1/200 F7.1 ISO100 Nikon D5500

コスプレイヤーの立場から言うと、まずお互いに気持ち良く撮影をしてもらうために、撮影前後で軽く挨拶をしてもらいたいです。囲みの撮影などで、人が多いために直接話をするのが難しい場合もありますが、そのようなときでも「よろしくおねがいします!」とひと声掛けてもらってから撮影していただけると、モデル側も気持ち良く撮ってもらえます。

もし、撮影前後で直接お話できるタイミングがあれば、ぜひ名刺をいただけると嬉しいです。コスプレイヤー側も名刺を用意していることがあるので、スムーズに名刺交換できると思います。このときに撮影した写真をWebやTwitterなどに掲載する予定があれば、教えてもらいたいですね。こちらからもチェックできますので。また、掲載時にはコスプレイヤーの名前もぜひ一緒に掲載して欲しいです。タグ付けなどもしてもらえると検索しやすいのでさらに嬉しいですね。 あと、ポージングについては、強要されるのが好きじゃない人が多いようです。「こういうポーズをして」ではなく、「こんなポーズはどうですか?」という提案型の方が良いと思います。ローアングルからの撮影も、コスプレイヤーさんによってはNGの人がいますから、撮影する前に「下からも撮って良いですか?」と一声確認してから撮影してほしいですね。

レタッチに関しては、写真としてより美しくなるなら、基本的にはみなさん歓迎だと思います。せっかく撮影していただいた写真なので、少しでも綺麗に掲載したり、鑑賞してもらいたいですから。

最後に一番重要なのは、コスプレイヤーも撮影者もお互いにトラブルのないように、譲り合いのマナーを忘れないでいただきたいです。せっかくの機会ですから、お互いに楽しく撮影し合えるのが一番だと思います。

塙真一イチオシの+αおすすめアクセサリ

カメラやレンズを揃えたら、次は撮影小物も充実させたい。
人物撮影に最適なフラッシュアクセサリーやレフ板など、撮影スタイルやシーンに応じて使い分けをしたい。特に、フラッシュディフューザーやリング型ソフトボックスは、ストロボ光を柔らかな光に変えてくれるので、「いかにもストロボ発光しました」という感じの影が出ずに、自然な描写となってくれる。
レフ板は直径1m以上の大きな物の方が遠くから当てやすいが、あまり大きいと持ち歩きも不便。手ごろなサイズをチョイスすると良いだろう。

ストロボ用 フラッシュディフューザーベンダー L ストロボ用 フラッシュディフューザーベンダー L

クリップオンストロボのヘッドに取り付けるだけで、拡散光やスポット光などを作れる使いやすいモデル。(S、M、Lとサイズ違いあり)

RoundFlash Ring(ラウンドフラッシュ) クリップオンストロボ用リング型ソフトボックス RoundFlash Ring(ラウンドフラッシュ) クリップオンストロボ用リング型ソフトボックス

カメラに装着したクリップオンストロボを使い、リングライトのような丸いキャッチライトが入れられる。(瞳の中のキャッチライトが円形になるのでモデルの瞳がより美しく撮れる)

【アマゾンオリジナル】 ETSUMI 撮影用品 ストロボアジャスタープロDX ETM-83647 【アマゾンオリジナル】 ETSUMI 撮影用品 ストロボアジャスタープロDX ETM-83647

人物撮影で多く使う縦位置撮影で、フラッシュをレンズ光軸上に設置でき、嫌な影が出にくくなる。

商品撮影や人物撮影に 丸レフ板 80cm 商品撮影や人物撮影に 丸レフ板 80cm

本格的なポートレート撮影にはちょっと小さめのレフ板だが、小さく収納できて持ち歩きに便利な一枚。