鬼と民俗学的な興味からたまたま見始めた『仮面ライダー響鬼』DVD全12巻。何の先入見もなく普通にヒーロー物として見ていたのですが、登場以来、なぜか気になり、ラストに近づくにつれて、目が離せなくなってしまったのが斬鬼役の松田賢二さん。
ちょこっと出てきただけでも、目が素通りできない。この存在感は何なのか。
それが知りたくて本書を買いました。
『響鬼』の世界と関係のない、松田賢二さんの日常のような写真も撮り下ろしで入っています。意外にお茶目で明るい感じもあり、いろいろな役をきちんと作れる本格派の俳優さんなのだということもわかり、他の映画出演作品にも手をのばしはじめたところです。
しかし『仮面ライダー響鬼』のひとつひとつの話の解説に、松田さんが撮影の裏話やカットされた場面についてコメントしているページ、また監督やプロデューサー、共演者(特に轟鬼の川口さん)ら大勢に丁寧にインタビューした記事などを読むと、『響鬼』の世界が、どんなふうに立体的に立ち上がってきたのか、つまり脚本のストーリーがあり、それに監督が、松田さんにこうやってもらいたい、という意向をつけ、そして松田さん自身のアイデアや工夫がのり、すべてがあいまって立体的に1つの世界ができていったのだと、そのプロセス、経緯が実によくわかりました。
『響鬼』の世界にこめられた多様なもの、そしてそれを燦然と引っ張っていった松田さんの個性。
ドラマの現場の面白さとともに、役者というありかたにも目を開かれました。
松田さんへの6ページに及ぶ徹底インタビューの魅力のみならず、『響鬼』を題材に、演技や役の造形、脚本の作りかた、鬼の解釈といった面でも深く納得するところが多く、もう一度、1巻から見直そうという気になりました。
前半後半の転換で、いろいろ取りざたされることもある『響鬼』ですが、松田さんの斬鬼が、この作品を名作に押し上げた功績は決して小さくはないと思います。
『響鬼』ワールドがさらに深まる本としてもお勧めします。