まず、このタイトルは何ぞやと思う。X51.ORGとは著者が運営管理しているオカルト情報を扱うウエブサイトの名称である。UFO、エイリアン、未確認生物、その他世界中の珍奇な事件を集めて研究している。しかしインターネットや書籍で情報を集めても、どうしても得られないものがある。それは現場の空気であり、匂いであり感触である。かくして著者はオカルトな現場を求めて旅に出たのである。
エイリアンを隠匿する秘密基地と噂されるネバダ州のエリア51、UFO墜落地点とされるロズウェルを主とする北米を皮切りに、戦後ヒトラーが潜伏していたとささやかれる南米を縦断。そして幻のイエティ(雪男)を求めてアジアを横断。それぞれの旅の当初の日程は数週間だったにも関わらず、ついつい面白そうなことに魅かれて寄り道をし、果ては居心地が良すぎて何ヶ月も滞在してしまったりもする。その長期に渡る旅の記録写真とオカルト情報が満載の本なのだ。
しかしこの本は巷にあふれるオカルト本とは少々違う。「ある!」「ない!」とヒステリックに叫ぶのではなく、淡々と情報や文献を集め、自説を披露しつつもイエスとノーの中間地点にいる。なにがなんでも真実を暴いてやるというスタンスでないのが読んでいて心地いい。
美しい大自然の景色や町並みの写真を眺めていると、全てが白と黒に分けられる世界なんてつまらないと思えてきたりもする。寄り道が本筋を越えて楽しめる部分も多々ある。(写真がとにかく充実している。)旅の途中で結構危険な目に遭遇ていても、好奇心は旅を止めようとはしないところもスゴイ。
チベットで無心に五体投地をして祈りを捧げる少女の姿の中に「地味な真実」を見つけ、それがオカルトをもしのぐなあなどと感心しつつ著者の旅は続けられる。オカルト雑誌「ムー」をよみふけったころを思い出し、むしろ懐かしささえ覚える本だった。