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W/F ダブル・ファンタジー
 
 

W/F ダブル・ファンタジー [単行本]

村山 由佳 , 久留 幸子
5つ星のうち 3.2  レビューをすべて見る (65件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ―。もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。

登録情報

  • 単行本: 496ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/1/8)
  • ISBN-10: 4163275304
  • ISBN-13: 978-4163275307
  • 発売日: 2009/1/8
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.2  レビューをすべて見る (65件のカスタマーレビュー)
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20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 何が言いたいのかよくわからない, 2010/8/30
レビュー対象商品: W/F ダブル・ファンタジー (単行本)
主人公の奈津を通して作者が何を言いたいのか、よくわかりませんでした。

女の自立というには奈津は最初から自力で充分に稼いでいるし、
官能小説というにはラブシーンはまったくそそらないし、
母娘の葛藤というには母の影はごく薄いし、
夫に稼ぎがないがゆえに夫が主導権を握るという形の束縛も目新しくはない。

女から見た性愛という側面も強調されていますが、
ジャンプノベル出身だからでしょうか、作者の描く女性はいつも男目線です。
肌はなめらかで、骨細で、でも胸は大きくて、感度が良くて・・・
奈津が自分の性欲を強調しようが、男の勝手なセックスを冷静に分析しようが、
彼女の持つ都合の良すぎるカラダでは女の性は描ききれない気がします。

★を1つ増やして3つにしたのは、岩井との関係に胸が締め付けられたから。
妻子ある岩井との、親友兼恋人を自称する白々しい関係に嫌悪感を感じる人のほうが
多数派だろうとは思いますし、二人の行動に共感の余地はありません。
でも、わたしには必死で予防線を張る二人が痛々しかったし、
岩井が"なっちゃん"と呼ぶたびに泣きそうになりました。
奈津の気持ちが愛情に変わりかけていることに気づかないふりをするずるさ、
そして終わりが見えてから再度執着するという情けなさに対しても、
イライラする反面、愛おしく感じてしまいました。
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137 人中、116人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 タイトルが意味深長, 2009/2/26
レビュー対象商品: W/F ダブル・ファンタジー (単行本)
レビューを読むと、賛否両論あるようですが
わたしは眠気も吹っ飛んで夜中に一気読みしました。

性描写が作品の軸になっているように取りざたされていますが
わたしは主人公・奈津が、夫・省吾と築いた10年の日々と、
自分にとっての「楽園」が崩壊していく辛さ・寂しさが
胸に迫ってきて、息苦しくなるほど切ない小説だと思いました。

誰かが功成り名を遂げたとき、
それを支えてくれている“味方”が
気づいたら“敵”になってしまう恐ろしさを描いた意味では、
ホラー小説のような戦慄を覚えます。

かつてジュリア・ロバーツが主演した
『Sleeping with enemy』という映画がありますが、
“敵”と寝ることを拒み、孤独の代償を負っても
一人で生きることを選ぶことを
奈津に余儀なくさせた夫との生活、
そして、心の赴くままに生きようとしても
自分の思いに応えてくれない
志澤を初めとする、想い人たちへの焦燥。
その煩悶に苛まれる苦しさ。

省吾の独善、志澤の豹変、岩井との齟齬、そして大林の執心・・・。
この作品の中には、男性主役の都合のいい官能小説のように
人格を与えられてない登場人物は、一人もいません。
なぜなら、実際のリアルな人生にも「都合のいい他人」
なんて存在しないことを、作者は知っているから。

そういう意味で、相手と気持ちを分かち合えない苦しみと
救済の訪れない日々を、この作品が残酷なまでに描いていることに
わたしはリアルを感じました。

森瑤子の初期作品にも通じる苦しさが籠もったこの作品、
血が通っていると思ってます。

(作者=主人公という稚拙な読み方は本来御法度ですが)
しょうじき、全ての村山作品を読んできて、
著者の鴨川暮らしに憧憬すら抱いていた自分には
読んでいて切ない部分もありましたが
『星々の船』以来、数年ぶりの大作に挑んだ
村山さんの第二章の幕開けとなる、
エポックメイキングな作品であると受け止めました。
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124 人中、103人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 初めての感動, 2009/1/31
レビュー対象商品: W/F ダブル・ファンタジー (単行本)
 これまで村山由佳の小説を追っかけてきた読者(村山の作品にはそういう中毒性がある)は、おそらく全員、首がへし折れるほど驚いたことだろう。自分がそうだった。
 過去の村山作品にも官能的表現はじつは多いが、それらは今まで、決して常識やモラルを確信犯的に踏み越えるものではなかった。
 それが、この『ダブル・ファンタジー』ではどうだろう。主人公自らが、夫以外の五人の男と次々に体を重ねていく。彼女の行動が、社会的なモラルに鑑みて褒められたものでないことは置いておいて、なぜそれぞれの男と体の関係を結ばなくてはならなかったのかについては、緻密な心情描写によって、ものすごい説得力で迫ってくる。特殊な主人公が決して特殊に思えなくなってくるあたりは、やはり作者の筆力だろう。
 主人公奈津の選択をけしからんと考える人は多いだろうし、彼女を生理的に好きになれないという人もいるだろう。もしかするとこの作品をきっかけに村山由佳を二度と読まなくなる人までいるかもしれない。実際、ここのレビューを見ても、評価は両極端に分かれている。
 しかし、僕は思う。そんな危険性くらい、作者は百も承知ではなかったか。作中にも出てくるとおり、「書くことによって自分が血みどろになるとわかっていても、それでもなお書かずにいられないという呪い」に突き動かされるようにして、村山由佳はあるいみ自分の作家生命を賭けてこれを書いたんじゃないか。そうまでして自分の殻を破らなくてはいられなかった作家の業みたいなものに、僕は感動した。
 個人的にはこれまでの青春恋愛小説のほうが気分よく読めて好きだが、それにもかかわらず、『ダブル・ファンタジー』にはただただ圧倒されて、有無を言わさず最後まで一気に「読まされて」しまったのだ。
 男が読むと、これは相当おそろしい話だ。性愛の真っ最中に、相手の女がこんな辛辣な批評をしながら演技している可能性を思うと、多くの男は自分をふり返って疑心暗鬼に駆られずにいられないだろう。女性の性愛、性感というものは、こんなに豊かで底知れないものなのか。怖ろしいような、うらやましいような気がした。
 しかし、これだけ過激なセックスを書き尽くした後に訪れる、ラストシーンのせつなさや美しさときたらもう、溜め息をつくしかない。朝日新聞のインタビューで作家本人が、「読み終わればやはり村山由佳の作品だと思ってもらえるはず」と言っていた意味がよくわかる。
 女性はもとより、男にもぜひ読んでもらいたい作品だ。
 
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