「スピリチュアルでありながらダンサブル、それがアフリカ音楽だ」と語ったのはユッスー・ンドゥールだったか?アフリカ音楽の本質を端的に言い表した名言だが、アフロ・ケルト・サウンド・システムの音楽を聴くと(彼等の音楽は純粋なアフリカ音楽ではないが)その言葉を思い出す。
グループの中心をなすのは Simon Emmerson、James McNally、Iarla O'Lionaird、Martin Russell の4人の腕利きのイギリス人(二人はアイルランド系)ミュージシャン&エンジニア達で、彼等以外に非常勤とも言える多彩な準メンバーが随時参加するプロジェクト的なグループと言って良いようだ。サウンドの要となっているのはサイモン・エマーソンで、彼はニュー・ウェーブ・グループ、Scritti Politti や Working Week 等で活躍した後、セネガルのトップ・スター、Baaba Maal と活動を共にするなど様々な音楽を体験してきた。そうしたサイモンの音楽的なキャリアの成果がこのグループに結実している。 何よりも素晴らしいのはトラッド音楽とアフリカ音楽を実に自然に、スムーズに融合しているところだ。
彼等のアルバムはどの作品も聞き所がある。ファンの間では2003年作の4作目「Seed」の評価も高いが、そのアルバムとしての完成度の高さで、2005年の5作目となる最新アルバム「Anatomic」がベストであると思う。ここでは全てのサウンドが極めて自然であり、アフロケルト的であり、エキサイティングであり“クール”である。正に“スピリチュアルでありながらダンサブル”、肉体と精神を自然に解放してくれる、そんな音楽の好サンプルがここにある。