ジャンカルロ・メノッティとサミュエル・バーバーのヴァイオリン協奏曲をカップリングしており、カーティス音楽院でのクラス・メイトの関係を越えた間柄だった二人を知る人にとっては恰好のカップリングと言えるだろう。
ヴァイオリン独奏はルッジェーロ・リッチ。伴奏はキース・クラークの指揮するパシフィック交響楽団。クラークはロジェ・ワーグナーの愛弟子として知られ、1978年に創立されたこのオーケストラの初代首席指揮者を10年間勤めた。離任時に楽団側の事務局ともめたらしく、公式サイトで彼の名前は抹消されている。
独奏に関しては、老いてなおソリストたらんとしたリッチの気概を感じさせるが、流石に技巧的に所々不安定なところがある。例えばバーバーの協奏曲の第3楽章は、テンポこそ若手の奏者なみに設定されているものの、ぎこちなさが残る。メノッティの協奏曲も、ボウイングの衰えからか、音色に潤いがない。
クラークのは、老ソリストを元気づけようと、メリハリの利いた立派な伴奏をつけているのだが、あまりに健康的すぎて、リッチのヴァイオリンを吹き飛ばしてしまいそうでもある。
在りし日のリッチの姿を偲ぶ意味では有意義かもしれないが、これからこの曲を聴こうという向きには辛口すぎるかもしれない。