本書のストーリーは、事業再建を専門にするコンサルタントである三枝が、過去にかかわった日本企業5社の事業改革を題材にしたもの。ストーリーはノンフィションとフィクションの間、つまり5社での体験を素材に、どの企業にもあてはまる「経営改革のモデル・ストーリー」を構成したものである。
本書はフィクションであるが、それを感じさせない強烈なリアリティーを放っている。改革のもと、社内に生じる政治力学、葛藤、抵抗勢力とのかけ引きといった細部が徹底して描きだされているのだ。著者はストーリーの進行に合わせて組織硬直化の「症状」を分析したり、改革の「要諦」をまとめたりして、逐一処方箋を示していく。
ストーリーは、現実の直視と分析、先導者の組織化、改革コンセプトの共有、戦略の意思決定、改革シナリオの現場への落とし込み…という改革のモデルパターンをたどって進む。自ら改革すべき企業の代表取締役となり、リスクと利害を共にするコンサルティングスタイルを取る三枝ならではの経験と知識がストーリーの中に凝縮されている。
本書は、経営改革のシミュレーションとして他に類を見ないテキストである。けっきょく、「太陽産業」は各役割を担うリーダーが機能し、8年ぶりの年間黒字決算を達成するのだが、ここに日本企業再生のシナリオがあるような気がしてならない。(棚上 勉)
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具体的には、この本には不振事業の50の症状があげられている。例えば、
・組織内に危機感がない。
・ミドルが問題を他人のせいばかりにしている。
・「妥協的態度=決定の先延ばし=時間軸の延長=競争力
の低下」のパターン。
・あれもこれもと開発テーマが多すぎる。
・組織に感動がない。表情がない。真実を語ることがタブ
ーになっている。
等々、どきりとすることが書かれている。
また、この本には、そこから脱却する色々なヒントが書かれている。それらをおおぐくりにすると、
・改革の糸口となるコンセプトを探す。
・組織全体を貫くストーリーを組み立てる。
・熱き心で皆を巻き込む。
・愚直かつ執拗に実行する。
というプロセスでまとめられている。
これらをヒントにして、現状の置かれている状況を打破したいものである。
しかし、実際にこの本を元にして同じように会社の建て直しに取組もうと思うと、肝心の分析手法などの説明が不充分です。そこで、分析の手法などに的を絞った続編と参考文献リストがあれば良いと思います。「V字回復:実践編」を期待しています。
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