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18 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
作家的悪意,
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レビュー対象商品: 充たされざる者〈上〉 (単行本)
ブッカー賞を受賞し、映画化もされた『日の名残り』に続く、日系イギリス人作家カズオ・イシグロの長編第四作。 デビュー作と二作目では、戦後間もない時期の日本を舞台に、 価値観の転変に適応できずに苦しむ人々の姿を丁寧に描き、 三作目となる『日の名残り』では、一転して舞台を英国に取り、 英国人以上の緻密さで執事の人生を描いてみせたイシグロ。 その彼が次の作品の舞台に選んだのは、 場所はもうひとつはっきりしないが中欧のどこかではあるらしい、 芸術熱の盛んな中小都市であり、 主人公のピアニスト、ライダーはそのキャリアの節目となるような 重要なコンサートを目的にこの街を訪れることになる。 冒頭、ホテルのエレベータに乗る場面で、 ライダーの荷物を手にする初老のボーイ、グスタフが、 自らに課した職業上の倫理を口にし始めるところで、 読者の誰もが思わず微笑みを浮かべずにはいられないのだが、 そんな読者をよそに思わぬ方向へと逸れ始めたストーリーは、 もはや正統的な純文学の枠組みに復帰することはなく、 逸脱に次ぐ逸脱を重ねたかと思うと、 何とも寝覚めの悪い悪夢の連続のような世界を紡ぎ出していく。 あれほどの成功を収めた『日の名残り』の次に、 失敗作と呼ばれることを恐れるどころか、 読者の期待を絶対に裏切ってやろうと言わんばかりの 変化球の極みのようなこの作品を持ってくるあたりに、 イシグロの作家的悪意を感じ、なぜか嬉しくなってしまった。
20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
結局彼はこういうものを書きたかったんじゃないの。,
By 彼の作品の主人公はほとんどが、それがどのような職業であれ、自分の仕事については相当に完成度の高いプロフェッショナルなのですが、それでいて内面的にはある矛盾を抱えていて、しかもそれに対してのアプローチがお茶目と言うか幼いと言うかちょっと変な人物、というのばかりです。その一番極端な例がこの作品の中のピアノの先生でしょう。だから面白いんですよね。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
カフカ的幻想的な世界観を上手く表現,
By ミリオネア "金持ち" (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 充たされざる者〈下〉 (単行本)
イシグロは寝てる時に見るおかしな夢をそのまま表現できるすばらしい作家だと思うストーリーそれ自体より、この幻想的な悪夢を見ているような感覚に嵌ってしまいます 「わたしたちが孤児だったころ」もそうですが、読者までもこの迷宮に巻き込んでしまい、危ない。 うまく表現できないが、とにかくヤバいな。これから読む人は気をつけた方がいいぞ そして訳者泣かせですね。この世界観を損なわずにうまく表現するのは結構大変な仕事だと思った
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