通算5作目のフルアルバム。クレジットを見る限り、今回はアルゼンチンほにゃらら派の重鎮・フェルナンド・カブサキ、アレハンドロ・フラノフの参加はなく、ほぼフアナ単独で音作りに取り組んだ模様です。
その影響があるのか、本作は“Segundo”の時分と比べるとかなり曲の輪郭がくっきり明瞭で、フアナのヴォーカルが前に出てきている印象。
ミニマリスティックな電子フォークであることや、ふやふやほにゃほにゃしたセルフコーラスが蜿蜒と漂うところなど、スタイルそのものは過去の踏襲なのですが、以前の淡いパステル調の曲想に比べるとより幾何学的で立体的な音になっています。さらにフォークロア色というか、中南米色も強まっているように感じられますね。
かつての得体の知れないストレンジなポップセンスはそのままに、コクと歌心が増量になってます。
能動的に歌っている感じ。その歌に呪文のようなリズムとフロウがあって、聴いていて気持ちよく体が反応する。乗れます。彼女のエスニックな部分が作為的でない形でごく自然に滲み出ていて、それが心地よいヴァイブレーションになっている。
同郷アルゼンチン出身の小説家・ボルヘスの幻想小説でも読みながら聴くとスッとハマれそう。
そんな、求心力の強い魅惑の魔術的歌心アルバムです。