冒頭のまえがきによると、畠山氏はこの建物の建設過程に自然の有機的な美しさを見出したそうだ。それは実際、建築家の伊東氏も杜の都でこのメディア施設を建てる際に意識していたようだが、実際に畠山氏が写し出した建材や建築中の建物は、草の芽が生え森が生い茂っていく様な美しさを湛えている。勿論、建築という産業構造物がいくら自然を取り入れ共生しているような振りをているとしても、それは究極的には単に空虚な偽装に過ぎないわけで、そういった冷めた批評性もこの文章では匂わせている。(そういう意味では伊東氏が畠山氏の写真を評して、建築が批評されているようだと前書きで語っているのは正しい反応である。)
一方で、このような批評性と写真美を備えつつ、貴重な記録写真としての機能、デビュー以来のテーマである「都市」を写した自らのコンセプト性とも両立させた写真家の腕はやはり素晴らしい。単なる記録写真や建築写真ではない、畠山氏にしか撮れなかった傑作シリーズである。そして、その批評性を分かっていて撮影を依頼し、写真家の料理に耐えうるだけの作品性を持った建物を建てた伊東氏も偉い。