前作から間のない発売、しかもカップリングもなし、ということで、発売前はファンの間にも戸惑いがあったようだ。売り方に関しては憶測しても始まらないが、実際に聴いてみると、CMの印象とはだいぶイメージが違う。インストだけを聞くとよくわかるが、ギターのずっしりした音とドラムが際立ち、アメリカのグループが歌っていてもおかしくない、ロックテイストとも言える曲調。乗っている歌詞は淡々としてナチュラルでいて、繰り返される「To be free」には揺るぎない決意が感じられる。来月発売のアルバムのテーマでもある「変化なき変化」へのひとつの布石のようだ。
前作の妖艶さから一転、派手さはないが、等身大の彼らの歌唱は雄弁に嵐の魅力を語っている。前回も書かせていただいたことだが、どんな曲調を持ってきても、嵐サウンドとして消化できるかれらの安定した力は、間違いないところだ。大野のフェイクやビブラートが随所に効いているのは相変わらずなのだが、二宮の突き抜けたフェイクも面白い。ユニゾンやハモリは、ここ何作かでは一番の出来なのではないかと思う。突出してうまくはないが、嵐がきちんと「歌える」グループであることがわかる。おそらく聞くほどに味わい深さが増す作品なのではないだろうか。だからこそ尚更、カップリングもないことが残念だ。
今回は限定版との差がブックレットだけということで(写真は確かに良かったけれど)通常版でもPVが楽しめる。大きな窓から見える雄大な景色の中に映し出される彼らの姿は、シンプルでとても魅力的だ。冒頭の相葉のしなやかな足、櫻井の知的な表情、視線を落とした松本の美しさ、二宮のどこまでもニュアンスを感じさせる瞳。(彼の表情は最近とても大人っぽくなったように思う)興味深かったのは、掻きならされるギターにかぶって歩いてくる大野のカット。まっすぐに攻撃的な視線を投げる男くさいキャスティングが彼とは。どんな演出であの表情になったのか?メイキングのぐだぐだぶりと見比べると、更に面白い。