作中に日本語の「人間」という言葉は、人の間と書くつまり自我はネットワークの中にこそ
存在するという台詞があります。
もちろんネットワークの中で生きていること自体は現実の世界でも同じですが、
この物語は意識しにくいその事をうまく形にして私たちに提示してくれています。
私たちの内面、ネットの中の自分、現実世界の自分。
私たちの命、デジタルの中の生命、現実世界の生命。
それらの差は何だろう?
私という意識は、ただ情報の集合体にすぎずネット上に存在するデータを私というインターフェイスが
呼び出しているだけにすぎないのではないか?読んでいるうちにそんな疑問が湧いてきます。
登場人物たちは、ネット上の魔法使いです。
だけど、現実世界では引きこもりとか、落伍者とかいうレッテルを
貼られるタイプの人々です。
彼らはそんな疑問に、それぞれの形でアプローチしていきます。
それは、ハッカー対クラッカーという単純な骨格で描かれていきますが
それについていく枝葉は、ネットの世界、生命の定義、人間という存在等々様々に広がり、絡み合い、
ときには狂気に近い感覚にまで及んでいきます。
感動とともに、いろいろと考えさせられた本です。
ぜひ一度読んでみてください。