最近、市町村レベルで、まちづくりに住民の声を反映させる取組が始まっています。本書は、既に連邦、州、市町村など様々なレベルで30年以上も住民参加の伝統を積み重ねてきたアメリカのノウハウを集積したものです。
政府の方針は、民主主義の手続きに則り、選挙で選ばれた政治家が議論をして、最終的に多数決によって決定します。
その方針に基づき、専門知識のある行政府が執行命令や行政計画を作成するわけですが、その際、知識や技術では判断できない、政治的な部分がどうしても出てきてしまいます。
そういう場合に、行政府の裁量の余地を減らして公正な判断をするためには、どのような手法があるか。本書には、その具体例が詰まっています。
ポイントは、「すべてに当てはまる正解はない」ということです。
いわゆるタウンミーティングのような手法は、啓発には効果があっても意見反映には効果が薄く、公聴会は特定利益団体の演説会と化すリスクが高いとしています。
住民を委員とした諮問委員会や無作為にメンバーを選んだ会議を行えば、意見反映に効果がありますが、会議運営に工夫が要ります。
いわゆる「根回し」を想起させる利益団体と直接交渉する方法も、有効な手法の一つとしています。ただし、交渉相手を取りこぼすおそれがあります。
住民参加を考えている行政部門の方々などに、是非読んでいただきたい一冊です。