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どう考えても、パリのオペラ座の地下で、新人歌手に歌のレッスンを施し
手塩にかけたクリスティーヌをスターに押し上げるためにあの手この手で
オペラ座のスタッフを怖がらせていた、ゴシック浪漫満杯の「オペラ座の
怪人」がアメリカに渡って、株で金儲にいそしんでビルの最上階のペントハウスに住んでいるなんてとても考えられない。
こんなのエリックじゃないやい。
「オペラ座の怪人」のファンは本書よりも、スーザン=ケイの「ファントム」を読もう。
なぜだろう。舞台の場合はファントマの屈折した愛情に、映画の場合はそれにクリスティーヌの父性的なものへの愛情が加わっているのだが、フォーサイスの小説では金とか犯罪のテイストが濃厚なのだ。舞台がアメリカに移ったための必然なのかもしれないが、愛情というテーマとはちょっと相容れないのかもしれない。
駄作かもしれないが、オペラが歌い手や演奏家によって全く異なった作品になるように、こういう解釈もあるという位に読めばそれなりにおもしろいかも。舞台や映画では、幸せな人生を歩んでいるように見えるラウルにこんな不幸が隠されていたとは。それが何かは、読んでのお楽しみです。
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