オックスフォードに留学しているアメリカ大統領の息子が誘拐され,人質解放と身代金交渉のために主人公のネゴシエイターが呼ばれるのが話の発端.神経をつかう微妙な交渉が進む展開は読ませる.その後,アメリカ兵器産業とソ連軍部極右が結託している背景から,イギリスからヨーロッパ大陸へ舞台が展開し最後にはアメリカでクライマックス.途中から話の全体像や登場人物の相互関連もかなりは読めてしまうので,物語全体としてはそれほどエキサイティングではないと感じた.ただ,相変わらず,綿密な調査の結果が随所に見られたり,細部に宿るユニークな視点やちょっとしたユーモアなどを楽しむことはできる(これはフォーサイスならでは).また,フォーサイスの小説は常にアメリカとイギリスが善でソ連ロシア)が常に悪というステレオタイプが前面に出ていることが多いのですが,この小説はその色が薄いのも特徴では.