CDジャケットは、蛇腹状の14ページブックレット。
17の収録曲のそれぞれに、カラーの場面写真がついている。
ジョニー・デップファンからも、クリスティーナ・リッチファンからも
文句が出ない、いいセレクト(印刷も鮮明)。
中面にはサリー・ポーター監督のテキストが載っている
*国内盤CDではそれが訳出されている。
このテキストが、映画制作の内側と、CD制作の背景を自ら語って、
読み応えがある。
「この作品で目指したのは、音楽が映像や登場人物と同じくらい強力に
感情的、精神的な真実を伝える媒体」とすることだった。
監督は何かに導かれるようにして、
ロマ音楽、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、クロノスカルテット、
アルゼンチン出身作曲家オスヴァルト・ゴリジョフと出会っていく。
オスヴァルト・ゴリジョフのスコアを演奏するクロノスカルテットはものすごく、
その哀切で、痛烈な響きは、こちらの深みにある何かを揺さぶる。
劇中、クリスティーナ・リッチが歌っていた曲(セザールの歌)もゴリジョフ作。
そのシーンがあまりに自然で、はまっていたので、
てっきり彼女自身が歌っているのだと思っていたが、
それはイヴァ・ビトヴァという女性シンガーによるものだった。
監督は、脚本執筆時に、特定の曲を何度も繰り返し聴いた。
それは「暗い日曜日」という曲で、
それもイヴァ・ビトヴァによるヴァージョンで収録されている。
この映画の日本語タイトルになった「耳に残るは君の歌声」
(ビゼーのオペラ「真珠採り」の中のアリア)は、
3パターンで収められている。
CD冒頭を飾るのは、
映画を見た人なら頭にしみこんで離れなくなる、あのメロディーと歌声。
ピアノ2台だけの伴奏のものも、また違った味わいで、
ビゼー25歳の時の名アリアに新しい命を吹き込んでいる。
サルヴァトーレ・リチートラは、張って歌う高音部を
うまく抑えて発声し、情感豊か。
CDラストが、イディッシュ語による「耳に残るは君の歌声」で
1曲目のヴァージョンよりも30秒ほど長い。
その分、さまようような、ささやきに近い祈りのような、
なんともいえない漂泊感が、ただよう。
監督はヴェローナで「トスカ」を歌うサルヴァトーレ・リチートラを聴き、
「彼の声には力強さと繊細な痛切さの両方があり、
ダンテという人物が持つ両面性を強調できそうだ」と思った。
冒頭の曲も、ビゼーの原曲はフランス語だが、
ここではイタリア語で歌われているなど、
国内盤CD解説は、細かいことをよく説明しているので、
国内盤の方をおすすめしておきます。
ジャケットは輸入盤の方がいいですけどね。