物語はジョーゼフ・アントネッリの「わたし」が「その男」の葬儀に参列するところから始まる。棺の中の男は「わたしが知る一番の悪人」で、死因が病気や事故だったら、顔を出す気などなかった。しかし「裁判官が州の歴史上はじめて殺人事件の被害者となった」からには、刑事法廷に関係するものとして出席せざるをえなかったのだ…。
葬儀のあと、アントネッリはベテラン事件記者のハーパー・プライスに、その男、巡回裁判所(第一審裁判所)首席判事のキャルヴィン・ジェフリーズとの深い因縁を、「できたての弁護士」時代までさかのぼって詳細に明かす。あのとき「もし銃が手許にあったら、撃ち殺していたかもしれない」。激しい憎しみを語るアントネッリの執拗さは、親友のプライスが「しかし、ずいぶん昔の話だ…いまもそれほどこだわっているのはなぜなんだ?」と驚くほどに異様なのだ。
しかし、いかに「悪人」とはいえ、ジェフリーズの死に様は無惨だった。彼は裁判所の駐車場で腹を刺され、「はみ出たはらわたをぶらさげたまま、判事室まではいずって」きて、息絶えたというのだ。捜査は難航したが、外部通報でホームレスの男が逮捕された。彼はあっさり犯行を自供したが、その夜、留置場で自殺してしまう。その死に方もまた異常だった。
それから2か月後、ジェフリーズ首席判事の後任のグリズウォルド判事が同じ駐車場で同じように腹を刺されて殺された。今度も外部通報でホームレスの青年が逮捕される。容疑者は自分の名前も言えない精神障害者だった。警察が仮に「ジョン・スミス」と名付けた青年は、犯行を否認したまま起訴される。
そこでアントネッリが乗り出すのはいつもどおりだが、この度は、彼にはっきりした犯人像があってのことだった。そこに行き着くまでの複雑な謎解きは、リーガル・ミステリーの醍醐味を十分味わわせてくれるが、同時に暴かれていく「法の不正義」には、怒りで目がくらむ。独身主義のアントネッリが、ハイスクール時代に別れた恋人と再会し、中年男女の結婚を果たすラブストーリーがあるから救われるが、そうでなければ、はらわたの煮えくり返る物語である。(伊藤延司) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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D.W.Buffaの小説は、時間の経過をうまく使い、過去のいろいろなピースが最後にはそれぞれ正しい位置にカチリとはまり、一枚の絵となり盛り上がった週末を迎えます。前作の‘The Prosecution’はいまいちでしたが、処女作‘The Defence’はこのような書き方をしていて、今回の ‘The Judgment’はさらに磨きがかかった感じで、私には ‘The Defence’より面白かったです。何一つ無駄がなく、本当によく出来た小説です。最後のほうにJosephが若い頃に弁護したJanet Larkin の娘まで登場させたのは、やり過ぎの感じもしましたけど、これはこれで、緊張感のある話にホッとしたものを与えてくれたのでいいとしましょう。
D.W.Buffaの小説の好きなことの一つに、最終章が素晴らしいこと。読後感がとてもよく、明日も生きていこうね、という気が起きます。 彼の三つの小説の主人公はいずれもJoseph Antonelliなのでシリーズ化するおつもりなのでしょうか。個人的にJosephのファンでもある私はそうなるといいなと思っていますけど・・
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