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主人公は、何人かの人々とバスに乗って、地獄から天国へ旅をする。天国に行くのはそんなに簡単なものなのだが、興味深いのは、誰も天国には留まりたがらないということ。それはなぜかといえば、自分が1番大切にしてきたものを捨てることを意味するから。彼らは、1度捨てたものをもう1度今度は永遠に得る、ということが理解できない。その「大切なもの」は、人によって違う。母の息子に対する愛も度を過ぎれば自己愛になって、天国に入るのに最も大きな障害となってしまう。自分の不幸をあまりに憐れんで、悲劇にひたっている状態もしかり。(Tragedianという、この物語で最もおもしろいキャラクターが登場する。comedianの代わりに、悲劇を演じるtragedian!)色々な人々が登場して、それぞれに自分の「偶像」を捨てられない。彼らの言い分は、日常生活ではごく当然だと思われるような事柄なので、彼らに非常によく共感できる。(殺人犯が天国にいるのを見て、憤慨する男や、芸術を神にしてしまった芸術家、など)
自分を捨てる、というのは簡単そうにも思え、(ほんの一線を越えて、神の前に自分を本当に投げ出せばよい)、とても難しそうにも思える(特に、息子を失った母のエピソードを読んだ後では)。それでも、目がさめるように感じさせられることは確かだ。ぼんやりと日常生活を送っていてはダメだと。
天国だの地獄だのの話はうんざりだという人にも勧めたい。C.S.ルイスは、さまざまな人間の願望や神を信じる際に絶えず障害となる疑問などをこの短い物語に凝縮し、それらをほとんどの場合セリフだけで表現している。それを読むだけでもすばらしい。自分が信じていたことを喋ってくれるキャラクターが出てくるだろう。読み終わってから、それなら自分はどうしたらいいのだ、という気にさせられるはずだ。天国か地獄を選ぶのか、すべてか無を手にするのか?
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