これはすごい。出版が1989年であるが殆ど知られていない。
日本人の悟りの体験としては、禅師による座禅の構造と実践がある。十牛図もあるが概念図みたいで実感に乏しい。これは普通の主婦が書いたのだからすごい。
キリスト教徒だから(本人は真正キリスト教、教会サイドではたぶん異端)キリスト教の概念による説明となっているが、その内容は禅(道元)そのものと言って差し支えない。
特に、全うに生きていることが自己喪失(悟り)の前提となつているのが、極めて新鮮。
言い換えればプロの不自然さ、ある種のいかがわしさが皆無。
相対の自己喪失から絶対の自己喪失、微笑、寂となる。そして「それ」は向こうからやって来る。
「それ」は生ぜず、滅せず。来ず、去らず。
自己が無くなるのだから思考、感情無く今の今に生きる。自他同一知により生きる。
花や木や石のように、幼児のように。
差異は消え一つのいのちとなる。具体は背景に退く。
幼児は一度大人にならなければならない。「それ」を知るために。それが人生である。