冒頭の言葉が印象的でした。「今こどもでない人もかつてはこどもだった」
「この心のなかの『こども』と常に向き合いながら自分探しをする人、それがアーティストではないでしょうか」というところから本書の企画は生まれたようです。
東西の芸術家が「こども」をどのように捉え表現したかを、様々な作品を掲示しながら考えていく内容となっています。40人の作家の作品とそのこどもに対する言葉が記してあり、作品の解説はまた別に掲載してありました。この作家がこんな作品を残していたのだ、とその魅力を再発見するよう作品もあり、通常の美術書の切り口とは一味も二味も違う企画だったと思いました。
写真では、荒木経惟、木村伊兵衛、島尾伸三、土門拳などの作品が、絵画では香月泰男、秋野不矩、土田麦僊、小倉遊亀、小出楢重、岸田劉生、青木繁、奈良美智、オーギュスト・ルノワール、ジュル・パスキン、エドワルド・ムンク、パウル・クレーなどの作品が、彫刻では、コンスタンティン・ブランクーシ、メダルド・ロッソなどの作品が掲載してありました。一口にこどもといっても様々な表情をしていますし、捉え方もまちまちですが、あまり類書をみない内容でしたので、興味を覚えながらじっくりと拝見しました。
近現代芸術におけるこどもの捉え方の例示のような本ですし、珍しい切り口の美術書と言えるでしょうが、それぞれの作家のこどもに対する温かい視線は共通のものでした。