仏教の国にありながら、ろくにお釈迦様の生い立ちも涅槃図のいわれも知らない自分の無知に、たびたび驚く。
猫が気位が高かったせいでお釈迦様に永の別れの挨拶に行かず、
涅槃図に描かれていないことをこの本を読んで初めて知った。
貧しい絵師が、猫を飼い始めたとたんに運が向き、とある寺の本堂の涅槃図を描くことになった。
ところが涅槃図には猫はいない。いないものを描くわけにはいかない。
他の動物たちを描き終わり、絵師は迷いに迷った末…。
最後まで読んだとき、わたしは泣いていることに気がついた。
釈迦の一生と猫の一生を淡々と書いたこの薄っぺらな本に、
慈悲の心がたっぷりと詰まっていた。