ポール・オースターの最新作です。彼の小説を発売直後に読むのは初めてです。
私が彼の最高傑作だとおもっている「Moon Palace」に匹敵するよいできの小説でした。
物語は2001年9月11日の朝までの話しです。つまり、ニューヨークに同時多発テロが起こる直前の、主人公のネイサン・グラスが緊急入院をした病院を退院するところで終わります。2000年のゴアVSブッシュの選挙戦を背景に物語がすすみますが、政治は背景だけで、ブルックリンをおもな舞台にした素晴らしい人情喜劇です。
物語は肺癌から生還した還暦間近のネイサンが、甥っ子のトムに偶然出逢うとこから始まります。登場人物はネイサンのファミリー(物語の初めではほとんど壊れていたけれど)や彼らにつらなる市井に生きる人々だけなのですが、オースターが老成したいい味をだしています。その意味では主人公が20代の若者だった1989年に出版された「Moon Palace」とはかなり趣が違います。
この物語のキーワードである「Hotel Existence」ってなんだろう。その意味がわかるころに物語は終盤をむかえます。
いい小説ですので是非お読みください。