筆者は世界の貧困をなくしたい、という強い情熱を持っている人である。
高給を稼げる銀行の仕事を投げ打って、開発援助の世界に飛び込む。
彼女の半生記を通して貫かれている主張は、貧しい人に物やお金をあげても彼らを本当に救うことにならず、彼らが貧困から脱出するためにはビジネスが必要だということ。
これは、例えばノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行の創始者が提唱しているソーシャル・ビジネスのコンセプトとも一致するものである。
筆者は、貧困層が被益すると判断されるソーシャル・ビジネスに投資することを目的としたAcumen Fundの創始者として、その業界ではかなり有名な人である。本書では、彼女のアフリカでの経験を通じて、Fund創設までの経緯、そして、Fundが資金協力を行ってきた事業が具体的に読みやすい英語でつづられている。開発援助という仕事に関心がある人にはお勧めしたい一冊である。
もうひとつの読み方は、本書の山場ともなっているルワンダの大虐殺について、そこで暮らす人々の視点から生々しい事実を知ることだろう。大虐殺の前後に、筆者が実際に体験したできごと、筆者と交流のあった人々の体験談が臨場感を伴って迫ってくる。平和と貧困との関係をもう少し掘り下げてもらえたら本書はもっと凄い本になると思ったが、彼女がなぜAcumen Fundを創設したか、という点が本書のテーマであれば、そこまで要求するのは酷と言うものだろう。続編を期待したい。