堅実な演奏も捨て難いが、バンドの看板はやはりジャスミンのボーカルだ。どちらかと言えば低い声だが、裏声の使い方が絶妙で、そこが凄みのあるロックシンガーであると同時に強く女性らしさを感じさせるテクニックのようだ。語弊を覚悟すれば、女性と男性の違いはあるが自分の知っている中ではモリッシーのボーカルが近いように思う。また、収録曲もジャスミンに合わせたように一筋ではいかない。3や9のようなけだるい雰囲気で統一されたものから、ジャスミンが歌うと詞の内容がいっそう凄みを増す4、穏やかな展開から激しい音に変化する10、ダンサブルで耳に残るメロディーを持つ11など。
あえてポールロジャースの音楽から離れた地点で歌いたいテーマや方法論を模索していたのかもしれない。この作品自体いい作品ではあるけれど、聴きたい気持ちをくすぐる決定打には欠けているように思う。複雑な構造の楽曲ではなく、エキセントリックな面をもう少し抑えたポップなジャスミンも聴いてみたいが、それが彼女の個性なのだろうか。その後の活動があまり聞こえてこないのが残念だし、もったいなさ過ぎるアーティストだ。