バーンスタイン作曲の「キャンディード序曲」は素晴らしい演奏です。佐渡裕の師匠の作品ということもあるのでしょうが、迫力満点ですし、スピード感があり歯切れも良く、全体的に明るい音色なのが好感を持てます。ジャズ・テイストの曲を取り上げた時の佐渡の躍動感や音楽のうねりを至る所に感じ、たっぷりとした演奏に仕上がっていました。シエナの高い技術水準には感心します。
吹奏楽経験者にとっては神様のような存在のアルフレッド・リードの「アルメニアン・ダンス パートI」も懐かしく聴きました。各パートバランスも取れていますし、全体的によく鳴っています。音楽が進むにつれウインド・オーケストラ特有の部厚い密集和音が万華鏡のように変化していきます。
ホルストの代表的名曲「吹奏楽のための第1組曲変ホ長調」はお手本でしょう。濃厚なハーモニーがとても懐かしい響きを思い起こさせます。感情の高ぶりを抑えた佐渡のタクトにシエナがよくついていっており、木管の温かくて柔らかいサウンドに聞き惚れました。
「エルザの大聖堂への行列」はコンクールの自由曲として定番の名曲です。豊かな響き、整ったアンサンブル、極上の音楽が流れていました。この1曲を聴くだけでシエナの卓越性を理解できると思います。
『星条旗よ永遠なれ』のアンサンブルは流石でした。フルート奏者だった佐渡裕の思っている理想像を聴かせてもらった感があります。
金聖響がシエナと組んだ『ジョン・ウィリアムズ』の4曲は悪くはないのですが、この元のアルバムを良く聴きますので、もっとシエナの個性を生かすような選曲であればよかったと思います。一般的に知られている有名な曲という価値観に引きずられた感じを受けました。