91年に今作と似た試みをみた作品を聴いた。佐野元春が小川洋子の書き下ろしエッセイ、山本容子アートピースとのコラボをみせた作品「Slow Songs」だ。
だが、今作は佐野の詞・山本の絵・小川の文章で作った素朴さと違い、限りなく大人の哀愁とゴージャスな黄昏感。それはR&Bそのものが持つ特徴だけでなく久保田と山田詠美のコンセプトの勝利だと思う。
音楽がどんどんデータ化して、ジャケット美術や歌詞カードの存在意義などが少しずつ希薄になっている今日、こういう、音楽と紙媒体とのコラボは、音楽の価値に新しい発見をもたらしてくれる。素晴らしい時間と空間をリスナーに提供してくれる。
ちなみに自分は久保田の作品は96年のアルバム以来だったが、音楽そのものを聴いてるだけでもびっくりするくらいレベルが高い。米国での活躍を考えれば当たり前だが、平井堅やケミストリーのはるかはるか上を行っている。これからどんどん昨今の久保田の作品を買ってみたいと思わせる、ベスト的なクオリティになっているのではないか。