先日、マーラーの交響曲第6番のいいのはないかなあと検索していたところ、素晴らしいレビューの書かれているディスクがあった(褒めてあったというだけではなく、文章として立派であった)。それがラインスドルフの指揮するもので、もとめて聴いてつよく、惹かれた。
それからしばらく「ラインスドルフ探検」ということになり、このディスクに出会った。これはいいディスクだ。ラインスドルフの良いところがはっきり出ている。ベートーヴェンの「第九」といえばさまざまな要素があるいわば「指揮者/オーケストラの検定試験」みたいな曲でもあるわけだが、これは実に見事な解答のひとつだ。
第1楽章から第3楽章まではシンフォニー指揮者としてのラインスドルフの手腕がはっきり解るし、声楽をともなう第4楽章では「ああ、ラインスドルフはオペラ出身の人なのだ」と痛感させられる見事さ。合唱団もすぐれているし、独唱者、特に男声が凄い。それもそのはず、シェリル・ミルンズとプラシド・ドミンゴなのだ。
ラインスドルフを好むレヴェルであれば、ものの本にかかれている、いろいろな曲の決定盤についてはすでにご存じであろう。そこで、わたしが漁った「ラインスドルフの盤」のなかで入手がむずかしくなく、値段もやすいものを簡単に紹介しておく。
1.最初に書いたマーラーの交響曲第6番。ボストン交響楽団を振った国内盤、バイエルン放送交響楽団を振った輸入盤、いずれも素晴らしい。
2.シカゴ交響楽団を振ってリヒテルと録音したブラームスのピアノ協奏曲第2番。
3.同じくパールマンとのプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。
4.ローマ国立歌劇場を振ったプッチーニの「トゥーランドット」(
「Leinsdorf,Turandot」でヒットする。ビョルリンクとニルソン、テバルディという顔ぶれ!)。
5.パールマンと組んでボストン交響楽団を振ったチャイコフスキーとシベリウスのヴァイオリン協奏曲(パールマン当時22歳。これはなぜか「Sibelius,Perlman」でのみヒット)。
6.ラザール・ベルマンと入れた(オーケストラはシカゴ交響楽団)ブラームスのピアノ協奏曲第1番。
5についてはなぜかシベリウスが推進力を欠いた指揮になっており、このへんが「出来不出来がある」と言われる所以かもしれない。6はいささか「珍盤」の傾向なしとしないが、その責任はベルマンのアウフタクト感覚の違いのせいで(同じ盤の最後にベートーヴェンの「悲愴ソナタ」のカーネギー・ホールでのライヴが入っているが、聴衆の戸惑ったような拍手が面白い)、ラインスドルフはあくまでもラインスドルフである。
どれも一聴の価値あり、です。