カール・ベーム(Kahl Bohm) がバイエルン放送交響楽団を指揮してのブルックナーの第7交響曲のライヴ録音。収録年は1977年。録音状況が良好で、細部までよく伝わってくる。
これは、auditeレーベルから発売されている一連のベームの歴史的録音の一枚だが、同じシリーズで同じ顔合わせによりリリースされているブルックナーの第8番が、ウィーンフィルとの正規録音の「前の演奏」だったのに比し、この第7番はウィーンフィルとの録音(1976年)の済んだ「翌年の演奏」である。そのためなのか、わからないが、第8番では両者間で大きく異なるテンポ設定に驚いたが、第7番についてはウィーンフィルとの録音に極めて近い内容だと思う。
ベームがたびたび取り上げてきた得意曲だけに、冒頭から悠然とした音楽で、弛緩なく、ほどよい緊張感とぬくもりを湛えている。決して「遅すぎる」こともなく、「抑制しすぎる」こともない。金管陣の彫像的とも言える音色は風格があり、ブルックナーの核心にあると聴き手を納得させる力に満ちている。第2楽章の第2主題のニュアンスの深さは特筆される。ブルックナーの「境地」といえる音楽が堪能できる。
私はこの第2楽章の演奏を聴いて、なぜか眼前に冬の風景が広がるような気がした。それも人知れず森の奥で、しんしんと降りつむ雪が大地を覆いつくす風景である。これが演奏・録音されたのはミュンヘンである。その先入観かもしれないが、静謐な自然、それも荘厳な冬の雰囲気を宿しているように感じられた。
後半2楽章も力の通った味わい深い演奏である。ベームのブルックナーの絶対的な価値を証明する録音だと思う。