実のところ私はこのマーラーの第6交響曲はあまり好きではない.
第7交響曲同様,マーラーの作曲テクニックの凄さには圧倒されるが,
この俗に「悲劇的」という表題も付けられている第6交響曲は,
後の,「大地の歌」や第9交響曲に比べると”つくられた悲劇性”が、
感じられ、それがどうも私には鼻について聞こえ,愛せないのだ.
(「大地の歌」や第9交響曲には,彼岸に立った作曲者の愛と悲しみ,
生への執着と死の憧れとが自然に表出されている.と私は思う.)
しかしこのザンダー指揮のレコードは素晴らしい.
おかげで私の今までのイメージが「マーラーの第6交響曲は嫌い」から,
「得意ではない」というものに変わったのだから.
例によってザンダー先生の知的な指揮が,私にそういう感想を持たせてくれたのだろう.
知的で冷静(ツメタイわけではない)な演奏であるにもかかわらず,
やはりあの最後の和音は残酷このうえなく,我々の耳を打つ.
あの最後の和音にもっていくまでのザンダー先生のコントロールも見事だ.
録音も優秀なので,特選の1枚.
なを,この盤には,有名な,終楽章が2ヴァージョン収録されている.
(簡単に言えば,例のハンマー3発の版と,2発の版のこと.)
プレーヤのプログラム機能を使って,スケルッツォ楽章とアンダンテ楽章を逆に
すれば,オリジナル版の演奏としても聴けるわけだ.
そういった点でもお買い得であり,購入価値のあるレコードだと思う.
・・・それにしても,フィルハーモニアは弦の響きといい,
各セクション間のバランスといい,上手いオーケストラだ.
今やベルリンフィルより良いオーケストラなのではないだろうか?
(当方はSACD2chシステムでの視聴。このレビューはSACD用に書き下ろしたものを加筆補正しました)