ヴィルヘルム・ステンハンマル( Wilhelm Stenhammar 1871-1927 )はスウェーデンのピアニストで指揮者・作曲家。エーテボリを中心に活躍しており、当盤のネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団にとってはまさに地元の作曲家ということになる。収録曲は、演奏会用序曲「エクセルシオール」、交響曲第1番、セレナーデ、交響曲第2番の4曲。録音は92年から93年にかけて行われている。いずれもフル編成のオーケストラのための作品だ。
ステンハンマルの作品は、最近になって録音点数も増え「北欧のメンデルスゾーン」という通り名(?)も得たようだけど、確かにこの人の作風は「北欧」より「独墺」を意識させる。まず演奏会用序曲「エクセルシオール(高みに向かって)」だが、これは確かにメンデルスゾーンを彷彿とさせる。細やかな表情付けのある弦にのり、歌謡性のある主題がなめらかに流れる。交響曲第1番はスケールの大きい作品でるが、さまざまに独墺の空気が感じられる。まず第2楽章ではブルックナーの第7交響曲の第2楽章を思わせるクライマックスが特徴的だ。終楽章も賛歌風の主題から終結部へ向かっていく過程はブラームスの第1交響曲を思わせるし、エンディングはワーグナーの「ラインの黄金」を彷彿とさせる。作品としてもきちんと仕上がっていて、楽しめる。
「セレナーデ」は名に沿わず気宇の大きな楽曲で、規模の大きいスケルツォとフィナーレを持っている。交響曲と言っても何ら不思議ではないが、セレナーデとしたのはモーツァルトへの憧憬からか。新しいセレナードのスタイルを模索したのかもしれない。第2交響曲はより自分の書法を追及したもので民俗性と対位法の織り成すものだ。終楽章のフーガも印象的。情熱的にこれらの楽曲にアプローチしたこの演奏は、現代的な洗練を経てより魅力的になったステンハンマルの世界を描き出している。