コヴェント・ガーデンのドミンゴの演奏にとても感激して、続くメト版も購入しました。
比較して見てみると、まずドミンゴ自体は、声が少し疲れている感じがあります。
元来テノールの声だからか、やはりバリトンの音域では苦しいところがあるのでしょうか。
プロローグでは、若い姿があまり似つかわしくないのは仕方ないとして、
妻のお父さんであるはずのモーリスと比べても随分老齢な感じがして、
やはりかなり違和感を感じてしまいます。
2・3幕ではドミンゴも老齢である設定なので、そこではしっくり行くのですが...。
声に疲れが見える分、コヴェント・ガーデンのものに比べ、
アンサンブルもドミンゴのパートだけ少し弱く感じてしまいます。
シモンとフィエスコの声の対比も、ドミンゴのテノール声にあわせ、
フィエスコととしては声が軽いモーリスが選ばれているので、
オーケストラの重厚さに比べて二人の声が軽すぎて聞こえてきます。
私個人として、ヴォータンを歌っているモーリスも、フィエスコには軽すぎると思います。
ソプラノはしっかりとした声の人ですが、特に高音でのアクートで荒いヴィブラートが
とても気になってしまいますし、アンサンブル内でもドミンゴを越えて大きすぎると思います。
テノールが少し特徴のない声なので、主役4人のアンサンブルがとてもアンバランスです。
特筆に値するが舞台セットで、しっかりとした重厚な作りに目を見開いてしまいます。
特に3幕の館の様子がすごくイタリアっぽくって感激しました。
見慣れたストレーレルの開放感溢れる野外のシーンとはまったく反対の発想で、
いずれも舞台の中にしっかりと作り納められた箱庭的なイメージが強いです。
ドミンゴのうちどちらかと言うと、ためらうことなしにコヴェント・ガーデン版を勧めます。