『BOLERO』と同様、今作が「詰め合わせアルバム」であるのは間違いない。シングル4曲、カップリング2曲、未発売とはいえタイアップ付1曲。実に全体の半数が既出の曲なわけだから、そう言われたって仕方ない。
しかしながら、『BOLERO』のような乱暴さは一切見られない。確かに「バラ売り」されていた曲達がラインナップの主としてあるけれど、一つ一つが明確な意図と卓越した美的感性で、実に丁寧に陳列してあるなぁという印象を強く受けた。
CD不況が叫ばれて久しいし、ミスチル(というか烏龍舎)も『花の匂い』に見られるように、いよいよ「ミリオンヒット」を死語とした路線変更をちらつかせ始めている。見方を変えれば、これは「ヒットメーカー」から「アルバムアーティスト」への転身を迫られているようなものだ。もしかしたら、ミスチルがこういう既出曲満載のアルバムを出すのは、今作もしくは次作が最後なんじゃないかという予感もある。
まあ、そういう商業的な話はここまでにしておいて、今回僕が感じた丁寧さは、いわゆる「アルバム曲」に特に顕著だ。否が応でも際立ってしまうシングル曲をうまく馴染ませ溶かし込んでいるのは、シングル曲と遜色ないクオリティと、一貫したアルバムコンセプトを併せ持ったアルバム曲に他ならない。けど、「どれがシングルになってもおかしくない」という表現は今作にはあてはまらない。逆だ。「全曲、このアルバムのために作られた曲だ」。それぐらい、渾然一体という言葉がよく似合う。強いて言えば、『HANABI』がアレンジ的にちょっと浮くくらい。ホント、アルバム全体がキレイに流れていく。
世間で乱発されるベスト盤に耳をやられている人は、こういうアルバムで耳を癒すといい。「コンセプト」がすべてじゃないけど、「一体感」は絶対必要。そのことを優しく教えてくれるアルバムです。名盤だ。