長刀研ぎは、2007年度に厚生労働省の現代の名工の一人に選ばれ「万年筆の神様」と呼ばれた長原義宣さんが呼び起こしたペン先だそうです。セーラー社でも熟達した職人だけが作ることのできるペン先ということでいつか使ってみたいと思っていました。
国内のペン先は海外のものよりも一段ぐらい細めといわれますが、長刀研ぎに限っては海外の呼び方のほうが当てはまるほど太めです。同社のウェブページをみたところ長刀研ぎの場合は「中字が通常の太字に相当」とあります。ペン先の太さを選ぶときはご注意ください。長刀研ぎは太字、中字、中細の三種類があるようです。
ペン先は柔らかさというよりはしなやかな剛性感を感じさせます。インクフローは豊富です。ペン先の後にインクが盛り上がるほど潤沢というわけではありません。
長刀研ぎはペンを立てる角度によって筆跡の太さが変化し日本の文字を書くのに適しているということですが、この太字に限っていうと、70度以上に立てても40度未満に寝かせてもそれほど目立った太さの変化はありませんでした。むしろ驚かされることは、こんなに立てたり寝かせたりしても最初から滑らかに字が書けることです。
万年筆は使えば使うほど持ち主になじむといわれます。PelikanのM800やM1000はまさにその通りで、インク瓶で数本分ぐらい使うとようやく調子が出始めるといった具合でした。4本のペン先がすべてそうだったので個体差だけの問題ではなさそうです。実際には万年筆が使い手になじむというよりも使い手がペン先の癖になじむのかもしれません。これらの万年筆ではこれほど滑らかに書ける角度は広くなく、まして初めは滑らかとは決していえないものでした。
自社のホームページで『万年筆の《ペン先》といえば「SAILOR」といわれる程』と自負するだけのことを実感させられ、以来すっかりセーラー万年筆のファンになりました。至高と呼べる一品です。