2004年、チューリヒ歌劇場におけるライブ映像。指揮はFranz Welser-Most、演出はBechtolf。このディスクの最大の問題は奇抜な演出である。衣装は古典的だが、室内装飾は白を基調とした、さながら現代の都心のマンションのような無機的なもの。第一幕冒頭のベッドは白い絨毯にすり替わり、銀の薔薇の献呈は半地下の厨房で執り行われる。とどめは第三幕の給仕達と亡霊で、前者は昆虫のお面をかぶり、後者は骸骨だ。音楽は合格点。Welser-Mostの指揮は整頓の限りを尽くした地味なものでもう一押し欲しい(録音も一因か!?)が、第二幕の決闘の場面、第三幕のOchsの退場の場面など混乱を極める場面ではそれが功を奏して分解能の高い演奏を聴かせる。歌手達は小粒ながら立派な出来栄え(Marchalline=Stemme, Octavian=Kasarova, Sophie=Hartelius, Ochs=Muff, etc.)。しかし全体としてはKleiber, Karajanのディスクよりも下にランクせざるを得ない。Der Rosenkavalier を知り尽くした人がちょっと変わった趣向を楽しみたいのならお勧めである。