金属的な響きを持つ、4オクターブの超人シンガー:ジェフ・テイトを擁する米メタルバンドの2nd。曲間をSEで繋ぐ、準コンセプト・アルバム。緊迫感のある演奏と、近未来的なメロディー、思想的な歌詞。「メタル哲学」と呼ばれる作風を確立した作品と言われる。
ニヒルに押し殺した低音と、伸びやかな高音を対比する歌い回しは「Ryche節」と呼ばれる独特なもの。ドイツ系アメリカ人であるジェフの卓越した作詞力と、クリス・デガーモ(G.)の多彩な楽曲により、グランジ期で唯一成功したメタルバンドである。
オープニングの「Walk in the Shadows」は、ミディアム・テンポのハード曲。最初から最後まで高音で歌われる、「威圧的な」ラヴ・ソング。♪俺とはもう終わったって? ♪こっちはまだ終わっちゃいないぜ ♪二人で「愛」って奴を掴んだはずさ… いきなり変拍子でスタートするなど知性派の一面も見せる。
連続演奏で続く2曲目は、闇の中、赤外線で夢を見る男の物語。SF小説のような世界観と流麗なギターが印象的。歌だけでなく、演奏も抜群に上手いが、あくまで「主役である歌」を中心に構成されているのが良い。中盤には、人間性を全て排除した、マシーンのような演奏の、「デジタルの叫び」という曲もある。
そして、このバンドは静かなナンバーもまた上手いのだ。ラストの「I Will Remember」は、冬の夜空を思わせる、アコースティック・バラード曲。聴いていて楽しいタイプの曲は一切ないが、詞・曲・演奏・歌… いずれも完璧。