厳しかった大学生生活の中で、一時の潤いを与えてくれました。本当に人生の糧となったアルバムです。
世紀の変わり目を超えて、まったく色あせないことに驚きます。EUとして生まれ変わる前のヨーロッパは古く取残された世界で、ある種の諦めと懐古の意識が支配している印象でした。ほとんどが短調で構成されたこのアルバムは、いわゆるヨーロッパ三部作の中でももっともその雰囲気を強く醸し出しています。いつになっても古びないのは、発表当時から既にヨーロッパの古さを表現していたからかもしれません。
いわゆる疑似ヨーロッパ音楽をヨーロッパ人はどう思うのかと思い、以前クロアチア人にCDをプレゼントしたところ(歌詞は理解できないにも関わらず)絶賛していました。日本らしい音楽に聞こえたか、それともヨーロッパの音楽に聞こえたのかは、彼女に聞きそびれました。
曲・詩とも秀逸ですが、坂本龍一の編曲がすばらしく、特に「若き日の望楼」「雨の夜明け」は、アバンチュールの「愛の行方」とともに、彼の全作品の中でも最高傑作ではないでしょうか。坂本龍一の本当の才能は、編曲にこそ現れているような気がします。