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R62号の発明・鉛の卵 (新潮文庫)
 
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R62号の発明・鉛の卵 (新潮文庫) [文庫]

安部 公房
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登録情報

  • 文庫: 364ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1974/08)
  • ISBN-10: 4101121095
  • ISBN-13: 978-4101121093
  • 発売日: 1974/08
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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By 紫陽花 VINE™ メンバー
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常に人間の存在意義を問い掛け続ける安部氏が、前衛的な手法で様々な発想を読者に晒して見せる傑作短編集。

題名作の一つ「R62号の発明」は、自殺志願の機械技師が自分の命を秘密組織に売って「R62号」と呼ばれるロボットに改造される様を戯画的に描いた佳作。組織の目的は"コストの安い"人間を製造装置に使うと言うもので、まさに人間の存在価値を揺るがすもの。ラストの皮肉(発明品)も効いている。「パニック」は、自我の薄い失業者がいつの間にか犯罪者に転落する顛末を風刺的に描いたもの。前作と共に、登場人物は無機質なのに、細部の描写は生々しく、物語の展開は破天荒と言う作者の特徴が良く出ている。「変形の記録」は、コレラが蔓延する戦場と言う極限状態の中、死者が幽体化するとの設定の下での人間模様を描いたものだが、最後に輪廻転生を用意する秀逸な作品。「死んだ娘が歌った...」は、地方の娘が東京に身売りされて自殺した所から物語が始まり、やはり幽体化した娘が故郷に帰る姿を映画の逆回しの様に描いた不思議なムードを持つ作品。「盲腸」は、羊の盲腸を自身の盲腸と入れ替える羽目になった男の違和感を通じて、人間の尊厳を謳ったもの。この研究の目的は世界的人口増加による食糧難を人間の草食化によって解決しようとするもので、クローン牛を想起させるモチーフと共に作者の先見性を感じる。「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」は、食人と言う行為を通じて、階層社会を批判したもの。「耳の値段」では、安部氏自身の名前も言及される。「鏡と呼子」は寒村における猜疑心を扱った不条理な作品。もう一つの題名作「鉛の卵」は、80万年後を舞台に、現代に人工冬眠した人間が甦った事で起きる様々なスレ違いをユーモアSFとして描いた作品。

前衛的な手法で様々なアイデアを提示しながら、人間の存在意義を真摯に考察した傑作。
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まるで、メビウスの輪のようである。

機械と人間、犬と飼い主、社会と犯罪、古代人と現代人。

これらの常識的な価値観と位置づけが、あっという間にくるりと反転して、「あっかんべー」と舌を出してくる。

表題「R62号の発明」「鉛の卵」もいいが、「棒」「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」もおすすめ。

「人肉〜」は、ああ、不毛な会話というのはこういうのを言うのか、としみじみ痛感する。

気がついたら、ねじくれた世界に突入していて、表か裏かは、もうわからない。
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By endoy
 安部公房は時代の的確な記録者でありながら、優れた予言者でもあった。そう、歴史は繰り返す。人類は全く進歩していないのだから。
 「R62号の発明」「盲腸」には、リストラで人心が縮み込んでいる当世への厳しい警告書だ。その中での個人の卑小さが哀しい。そして前者のラストに震撼する経営者もいることだろう。
 「鉛の卵」ではラストに救われる気がするものの、それが本当に救いになるかどうかなんてわからない。
 成長か安定かぐらぐらしているこの不安定な時代。どうして人間はこうも同じ轍を踏んでしまうことに懲りないのだろうか。
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