2008年9月7日から9日、ハンガリーのブダペストで収録した最新の西本智実です。
全体的にゆったり目のテンポ設定ですが、実に繊細な「シェエラザード」が鳴っていました。
西本智実の人気は凄まじいですね。このCDは彼女の魅力と実力をしっかりと世に問う出来栄えだったと思います。日本のオケで何回も彼女が取り上げてきた十八番ともいうべき「シェエラザード」ですし、いぶし銀の魅力にあふれた手兵のブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団が奏でるわけですから、悪いはずがありません。
ジャケットの写真の神秘的なこと、これだけで参りましたね。
特筆すべきことは、各パートの旋律線が明確に浮き出ており、木管のしなやかさと金管の歯切れの良さがあり、なんといっても弦のソロが艶やかだったことでしょう。
東洋的な雰囲気が漂うメロディや、色彩感が好きで「シェエラザード」を他の演奏で聴いてきましたが、この西本智実の演奏は実に王道ともいえる落ち着きがあります。
「海とシンドバッドの船」は、ヴァイオリン・ソロとチェロが共演する箇所は満足いくものでした。
「カランダール王子の物語」の木管パートの響きの透明感が高貴な香りを漂わせるようでした。
「若い王子と若い王女」での弦パートのユニゾンも伸びやかでよく歌っています。誇張することもなく、ケレン味のない正統派の演奏です。
「バグダッドの祭り、海、青銅の騎士の立つ岩での難破、終曲」はラストに相応しい絢爛豪華さが伝わってきます。欲を言えば、たたみ込む様な圧倒的な迫力で迫ってきてほしいと思いましたが。
リストの交響詩「レ・プレリュード」と村の居酒屋での踊りは、ブダペスト・フィルの十八番ですから良い組み合わせです。