前作の「untilted」は、ハードウェアならではのゴツゴツとした感触が印象的な作品で、賛否が分かれたようですが、個人的には気に入っていました。
ただ、オウテカのこれから進むべき道をそれが示していたか、というと答えづらい、というのが正直なところ。
良くも悪くもストイックな作品であっただけに、独立した作品としては傑作、
しかしオウテカのコレまでの軌跡を、幾分スポイルしているかのような印象を受けたのは事実です。
しかし時が経つのは速い。前作共にコレも発売されてすぐ買った記憶がありますが、もう二年近くも経っていたんですね。
今回の作品は柔軟な思想のもとに、「今のオウテカが出来ること」を忠実にこなしている、という印象を受けました。
感触としては一番評価が高い中期の作品に近い感じ。
雑多に、自由に作られたであろう全20トラックは、しかしなんらかの有機性を伴って絶妙な配置を以ってしてアルバムを形作っている。
無機的で広大なフィールドをイメージさせるアンビエンスなパートが特に気に入っています。
以前の作品のような、過度の気負いを感じない、リラックスした作曲風景が浮かんできますよね。
まあ、初めて聴く人にとってはトンでもない話でしょうが、「confild」以降の一連の作品は、
自らのキャリアが作り出した壁を打ち砕こうと必死で、非常に息苦しい印象があった(そして、だからこそ傑作だった)。
「untilted」、そしてツアーを通じて、そうした重圧から開放された感があります。
だからはっきりいってしまえば、(このユニットに最も求められていたであろう)革新性はない。
これをきいて、オウテカは終った、と感じる人がいても正直不思議ではないと思う。
しかしDTMの旗手としてのプレッシャーからの開放、カリスマの歩むべき道を彼らはきちんと乗り越えてキャリアを積んでいる。
エイフェックスツインのように時代に呑み込まれてしまわないよう、自己をバージョンアップし、その時その時で最善の作品を生み出していく。
これからもきっとそうだろう。自分はまだオウテカの「これから」に期待します。