オルタナティヴロックというのはそもそも、ジャンルではなく、そのアーチストが目指す方向性やマナー、アティテュードを指す形容詞であったと僕は解釈している。
すなわち、80年代的メインストリームロック(主にヘヴィメタル、ハードロック)に対するカウンター、アンチテーゼを、意図的かつ恣意的に表現した音楽であったということだ。
従って、そこには特段音楽的な共通項があるわけではなく、各アーチストによって、そのスタイルはかなり異なっていて、幅があった。
が、あえて言えば、それはそれまでアングラなムーヴメントの中で生息していたサウンドであり、あるいは、そういった空気感を放出するものであった、ということだ。
初期のREMやソニック・ユースなどが典型的な存在であったとは思うが、ローファイ、ローテク、ヘタウマでミニマルな演奏、ノイズギター、倦怠感、脱力感、といったような要素を含みながらも、楽曲自体はわりとポップなガレージロック風、といったような形だ。
が、「NEVERMIND」の空前の大ヒットにより、一気にメインストリームへと浮上したオルタナは、そこから「ジャンル化」してしまい、本来的な意味を喪失してしまった。
サウンドの大衆化が進み、ちょっと毛色の違うロックは、全てAltRockと呼ばれるようになったのである。
そうした状況に意義を唱えるべく、カートは「IN UTERO」を、エディーは「NO CODE」を、レインは「ALICE IN CHAINS」をそれぞれ作ったのだろうとは思うのだが、シーンはもう彼らの意図とは真逆の方向へ既に進みきっていて、オルタナはメインストリームの音楽として、完全にポピュラリティーを得る存在へと変質していったのである。
このペイヴメントは、そんな90年代にあって、AltRockの本質的な部分を喪失せずに活動を続け、そして散っていった、数少ないバンドのひとつであると思う。
最後まで、商業的に大成功を収める、ということには縁のなかったグループだが、「知る人ぞ知る」的カルト度は極めて高く、後身にも大いに影響を与え続けた。
昨年の再結成ツアーに合わせてリリースされたこのベスト盤を聴けば、そうしたことがよく分かると思う。
彼らは徹頭徹尾「傍流」であることを貫き続け、その存在意義を見失わなかったのである。