本作のユニット「カドロン」はデンマークの男女二人組。トラックメイカーのロビン・ハンニバルとボーカルのココから成る。ロビン
は既にオウス・アンド・ハンニバルという別ユニットで1枚作品を発表しているようだが、詳細は不明である。今回たまたまネット
で本作の一部を視聴し購入を決めたが、これが中々の優れもので思わぬ拾い物をした気分だ。
一聴した感じは、可愛らしい雰囲気を纏った電子ポップという印象だ。1曲2〜4分の小曲が中心、全体も45分という尺なので何
回も気軽に聴ける。何より浮遊感ある美しいソプラノ・ボイスを持つココの歌が良く映えるように、どの曲もしっかりとしたメロデ
ィーを持っているので、分かりやすい小洒落た歌ものをお探しの方には推薦出来る。
この作品が優れているのは、ただ口当たりの良いポップスに終わらずハンニバル制作のトラックが良く練られている点にある。
ぱっと聴きではとても音数が少なくすっきりした印象を与えるが、細部にまで耳を澄ますと驚く程多くの発見がある。
「バスター・キートン」の管楽器を思わせるファンシーなシンセ音の選び方、「デイ」のジャジーなシンセにサックス・控えめな弦楽
器を絡める感覚、「シミリ・ライフ」の浮き上がる様なギター・ピアノの音とココの多重コーラスとの美しい掛合い等、随所で「おっ」
と思わせるセンスの良さに溢れている。
多くの人を惹きつけるメロディーの人懐っこさと、トラックの奥行きの深さを併せ備えた逸品。「コケティッシュ」「ファンシー」という
雰囲気に弱い方は、一度聴いてみて損はないと思う。