前書きにもあるように、C++を知ってることが前提の本です。基本さえ分かっていれば十分で(おそらく敬遠されがちな)テンプレートや多重継承など難しい知識は要求していません。どちらかといえば、「カプセル化」「継承」「多態性」といったオブジェクト指向の基本概念を知っており、これらをC++で実現する基本的なスキルがないと厳しいかも知れません。またGUIアプリを作った経験が一度も無いとちょっと敷居が高いかも。
逆に言うと上の条件を満足する人ならば、初心者相手のくどい余計な文章が省かれている分、サクサクと読み進められると思います。自分のようにVBやDelphi使い(少数派w)でC++も知っているような人なら全く迷うことなくすんなり受け容れられる内容でしょう。
ただ、著者の意図とも取れますが、読者自身が興味を持ち、ちょっとしたことは自分で調べるといった、自発的に学んでいこうという姿勢も要求されますので、受け身の人には向かないかも知れません。個人的にこれは至極当然のことだと思いますが不親切と感じる方もいるでしょうね。
1〜7章は基本的なウィジェットやイベント、よく使うクラスの使い方や標準的なC++とは異なるユニークな動作についての解説や演習っぽい内容で、8, 9, 10章ではタイプの異なる3つのアプリを作って実用的な使いこなしが出来るような構成となっています。
入門書の中にはインストールの仕方となぜか本のタイトルとは関係ないフリーのテキストエディタの解説と本の中で触れられた全ソースコードのハードコピー掲載(昔かっ!)に大半を割き肝心のメインディッシュが全体の2割程度といった誰得だよと思わせる謎な書籍もありますが、この本は勉強という段階を抜け出しQt使いになるための足がかりとなってくれる良書でした。