日銀が日本経済の浮沈を完全にコントロールしている、という衝撃の書で
ある。
「お金は銀行の貸出し=信用創造によって作り出される」という重要な事
実を日銀は隠し、金利が貸出し総量のコントロールに有効である、という
嘘の理論を主張し続けて世間に定着させる一方で、自らは銀行への「窓口
指導」という、実質上の「命令」を用い、銀行の貸出し総量を完全にコン
トロールし、景気を操っていると言う。
貸出し総量のコントロールによってバブルを作り出したのも日銀だし、そ
れを潰したのも日銀である。
社会システムの全面的な構造改革を強く求めるいわゆる「前川レポート」
が発表されたのが1986年、そして、その直後に続くバブルとバブル崩壊。
それによって「日本の社会システムに欠陥があるから不況に陥ったのだ」
とする主張が幅をきかせるようになり、小泉政権での構造改革につながっ
て行ったのである。
構造改革を促した日銀も、それを実行に移した小泉政権も、それが日本の
ためになると思ってやったのであろうが、まんまとアメリカの戦略に乗せ
られたのであれば罪は深い。
最後に、日銀を含む世界各国の中央銀行をコントロールするFRBの意図が
明らかにされる。
バブルと経済危機のセットを繰り返し起こすことで経済構造を変革し、徐々に
権力を中央銀行に集中させる。1990年代末のアジア通貨危機ではアジア各国の
中央銀行が政府からの完全な独立を果たした。
次の通貨危機(リーマンショックのことだろう)ではアジア共通通貨と北米
共通通貨(アメーロ)を作り、最後はユーロを含めた3つの共通通貨を統合
して世界通貨を作り、通貨を、すなわち世界経済を完全に彼らの支配下に置く
ことが目的だろうと推理する。
20年近く続く不況の根本原因に迫るとともに、日本経済の支配者と、さらには
その背後にあって彼らをを動かしている存在を明らかにした、発売から10年近く
経つが決して埋もれさせてはいけない画期的書である。