ストゥージズの結成から40年以上、御年62歳。ハードなギター&シャウトのロックンロールに厭きて作ったアルバムだそうが、「厭きるにしても今更かよ!(笑)」、と突っ込んだファンは多いハズ。今回の変貌にオリジナル・パンク魂を見ることは確かに可能だが、純粋に音だけを聴いた場合はやっぱり違和感が先立っちゃって、当時デジタル・サウンドに夢中だったD・ボウイが手掛けた「ブラー・ブラー・ブラー」(86年)と並ぶ怪作に仕上がってると思う。
そもそもが渋い低音ボイスの人なので、本来この路線は成功して当たり前なのだが、「枯葉」などは収まりが意外に悪い。その最大の理由は、この路線でキメるには実は相当計算されたバックが必要なのだが、シンプルな4ピース・バンドにシンセが被るというチープな編成が中心だと、仕上がりがどうしても薄っぺらくなるのだ。メロディ自体も変わらぬイギー節なのだが、シャンソン、打ち込みポップ、ブルース、パンク等など曲調もバラバラ気味。もうちょっと整理して、ニック・ケイブの脇を固めるバッド・シーズくらい豪華な才能を持った人達がサポートしてたら、もっと凄いアルバムになったと思うので、星は1つ減点しました。
フレンチ女性ボーカルの裏に徹した4曲目、なんだかんだ言ってパンクやってる6曲目(60越えてこの声は凄いわ)、レナード・コーエンみたいな7・10曲目、生ギター一本の激渋パンクな9曲目、と後半に個人的なオススメ曲が固まってます。イギーが歌っているという先入観と違和感さえ取れてしまえば、個々の曲は渋く纏まってます。どうせ死ぬ前にもう一度パンク回帰すると思うんだけど、もう1〜2枚この路線でじっくり作り込むと意外な傑作が生まれるのでは。