この本を読む前は、会社では部下は上司に従属する、上司は部下に対して指揮命令を行う(上司は部下を「使う」)、と単純に考えていましたが、この本を読んでその考え方がとても不完全であることを学びました。 それ以来、この本の内容は、組織の中で (あるいは組織と共同して) より良い仕事をし、周囲の上司・同僚・部下とより生産的な関係を作っていきながら自分自身の貢献を考えていくための数々の示唆を私に与え続けてくれています。
ビジネスだけではなく、会社の外での自分の社会的貢献の必要性と大切さ (著者の言う「第二の人生」の必要性) についても、私はこの本から多くを学んでいます。 この著者が提供している歴史的な視点 (第二次大戦以降の上司-部下の意味の変化、知識労働と生産性の関係の変化、それにともなう人々の人生設計の変化) は、日々接する社会生活の意味を理解するための大きな助けになると思います。
知識労働者は、上司よりも自分の仕事についてはよく知っているために、上司は知識労働者に対して「指揮・命令」を行うことはできません。 また、知識そのものが現代では生産手段であり、それは一つの会社が所有できるものではないので、知識労働者には組織の壁をこえて移動していく自由があります。 たとえ部下がいなくても (いわゆるヒラ社員であっても)、知識労働者は自分の仕事と周囲との関係を自分でマネジメントしていく必要があります。
これはすでに古典的な資本主義 (資本家-労働者) の社会とは大きく異なる社会であり、ドラッカーが「断絶の時代」(1968年)やこの「ポスト資本主義社会」(1992年) を通じて描いたこの現実は、著者の言うとおり「すでに起こってしまった変化」、今後もますます広範化していくと思います。 日本の企業がさらに生産性を向上し、近年深刻化する国際競争に伍していくためにも、この本の内容は非常に重要だと思います。 一読をお勧めします。