「セリング・イングランド・バイ・ザ・パウンド」「トリック・オブ・ザ・テイル」と続いたジェネシスの絶頂期。「静寂の嵐」を最後にそのジェネシスを飛び出したスティーブ・ハケット。脱退後初のソロで、ジェネシスに対する「自分こそジェネシス音世界のオリジン」という気負いが美しい力作です。ハケットの世界は、非常にマザーグースに近いと思います。無邪気でありながら残酷、叙情的ながらヘビー、という相反する要素を内包しています。よく考えると初期ジェネシスの特徴のひとつでもありますね。
彼の人徳で、ゲスト・プレイヤーに恵まれています。特にボーカリストを見つけてくるのがハケットはうまいですね。この作品の半分はアメリカで録音されていたため、カンザスのスティーブ・ウォルシュを電話で勧誘したようです。そりゃ、ウォルシュは断れないでしょう。彼の嬉々とした歌声はカンザス以上に素晴らしいかもしれません。
Narniaから、明るくスピーディでポップな曲が続きます。しかし、この作品の白眉はPlease Don't Touch以降の、ほぼ切れ目ないヘビーな展開でしょう。本家がかすむような不気味で美しい世界は、すでに本家には望めなくなっていたものです。