Chet Bakerが自らのコンボで最初に渡欧した55年から56年の間に、
数枚のアルバムが録音され、そのうちの1枚らしい。
この最初の演奏旅行、Chetの一行は9月にパリに到着。
ところが同行した才能豊かなピアニスト、Dick Twardzicが
10月20日、麻薬の過量注射によりホテルの自室で24歳の若さで突然死亡、
とさんざんであった。
このCDの録音、記載通りとすると、なんと死の4日後の録音となる。
Chetは同僚の死は当然大ショック、落ち込みまくっていたらしいが、
この録音からはその揺れ動く心中はうかがい知れない。
それが明るいアポロン的端正な音の響きに中に、不気味な影を感じさせる。
全体にまとまりよく、美しい歌心に満ちた作品ではある。