一種の海賊盤なのでポリーニを聴くためのファースト・チョイスとしてはお勧めできないが、マニアックなコレクターにとっては現在までに聴くことができる彼の最初の録音として貴重な価値を持っているCDだ。ライナー・ノートが付いていないので、どういういきさつでこのライヴが催されたのか定かではないが、60年の第6回ショパン・コンクールでの、3月に行われた公開リハーサルのようだ。ピアノ・ソナタ第2番と最後のポロネーズには拍手が入っている。彼がこのコンクールで審査員全員一致の圧倒的な優勝に輝いた直後、クレツキとのピアノ協奏曲第1番をフィルハーモニア管弦楽団と録音するのが4月なので、これは更にその少し前に収録されたことになる。切れの良いテクニックからしても、また音楽の明晰さ、構成力からも、ここで演奏しているのは紛れもなくポリーニだが、これが彼のピアニストとしての出発点だったと思うと感慨深いものがある。
音が数箇所ゆがむところがあるが、音質はこの手のCDとしては良いほうだろう。曲目はピアノ・ソナタ第2番ロ短調『葬送』、マズルカ第32番嬰ハ短調、同24番ハ長調、同38番嬰へ短調、24の前奏曲より第2番イ短調、同8番嬰へ短調、同24番ニ短調、エチュード作品25より第10番ロ短調、同11番『木枯らし』、エチュード作品10より第1番ハ長調、ノクターン第13番ハ短調及びポロネーズ第5番嬰へ短調。